1曲目「William, It Was Really Nothing」はもともと好きだったシングル曲。今までスミスはロック・バンドという認識だったんだけど、こういう曲を聴くと、ネオアコ・バンドだったんだなあと痛感する。もっと聴いていたいのに、2分で終わってしまう。
2曲目「What Difference Does It Make?」は、イントロのギター・リフに続いて入ってくるドラムとベースの音が物凄く迫力があってビックリする。1stのテイクと比べて、全体的にワイルドな演奏がカッコいい。
3曲目「These Things Take Time」はスピード感があって好き。
4曲目「This Charming Man」は、ウキウキしながらショッピングしてるという雰囲気の明るいサウンド。1stのテイクと随分違う。これはウキウキ・ヴァージョンと命名しよう(笑)。
5曲目「How Soon Is Now」は、僕が持ってるベスト盤では聴こえなかった音が聴こえてきて、別ヴァージョン?と思って感動したのだが、どうやらこれはリマスター効果らしい。これはシングルとして売れた曲で、スミスの代表曲という事らしいけど、暗くてスローで長い曲。うーん、好きになれない。しかも、ギザギザのサウンドが左右に振れるから、イヤホンで聴くと、ちょっと酔ってしまう。だから、あまり聴きたくないなあ。
6曲目「Handsome Devil」は、単純なリフの繰り返しだけど、マイナーで疾走感があって、このアルバムで一番好きかな。しかも、拷問の様な「How Soon Is Now」の後だから(笑)、余計にカタルシスを感じる。スミスはやっぱりロック・バンドだよ。
7曲目「Hand In Glove」は1stのテイクとは違ってシングル・ヴァージョン。フェイド・インして始まるイントロ、フェイド・アウトして終わるラストが違う。けど、違いはこれくらいなのかな?
8曲目「Still Ill」は、なんと言ってもイントロとラストで聴けるハーモニカがインパクト大。しかし、マイナーのこの曲にはこのハーモニカのフレーズはなんとも軽い響きに聴こえてしまって、曲の雰囲気を台無しにしてる気がする。大好きな曲に余計なものを付け足してくれたなという感じで、好きになれない。だけど、インパクトがあるだけに、この後1stを改めて聴くと、ハーモニカの音がなくて寂しい気もしてしまうという...。
9曲目「Heaven Knows I’m Miserable Now」。1stの記事で、相対性理論の「夏の黄金比」のイントロは「You've Got Everything Now」に似ていると書いたけど、この曲の方が似てるな。最初の♪ジャーン、の後のベースの動き具合とか。曲調はとても爽やかで良い。この曲がシングルだったのも頷けるポップさだ。
10曲目「This Night Has Opened My Eyes」は、このアルバム中、この曲だけ1stにもシングルにも収録されてなかった、新曲とも言っていい曲。ミドル・テンポで暗めの曲だけど、不思議で、大人の雰囲気を醸し出していて、かなり好きな曲。
11曲目「You’ve Got Everything Now」は大好きな曲の別テイクという事で楽しく聴けるが、演奏が荒々しいというだけで、アレンジ的には特別変わった雰囲気はない。
12曲目「Accept Yourself」は、明るい曲で、リズムの展開が激しいので飽きずに聴き通せる。
13曲目「Girl Afraid」は、イントロからのリフが、まるでベンチャーズか日本のGSかというノリで、ちょっとトホホなのだが(笑)、決して嫌いという訳ではなく、歌メロになると、マイナー・コードでなかなかの曲。
14曲目「Back To The Old House」は、アコギのアルペジオが美しく響く曲。ザ・ジャムの「English Rose」を思い出す。シングルのカップリングだったものとは別テイクで、シングル・ヴァージョンはアコギではなくエレキだったらしい。となると、かなり雰囲気が違うのでは?そちらも聴きたい。
15曲目「Reel Around The Fountain」は、1stのものよりも、テンポが速く、キーも違うので、雰囲気が違う。どちらのテイクが好きとは決められないなあ。
16曲目「Please Please Please Let Me Get What I Want」は、長いタイトルに反して短い曲。僕が持ってるベスト盤でもこの曲は最後に収録されていて、以前は印象が薄かったのだが、非常に穏やかであっさりと終わるその様が儚げで、なかなかいいムードの曲だなと愛しく感じる様になった。
このアルバムには、シングルのカップリング曲が含まれてると聞いてたので、じゃあシングルは聴かなくてもいいんだねと思ってたのだけれど、どうやらそう単純ではなくて、このアルバムに収録されているのは、シングルのカップリング曲のさらに別のテイクだという事が判明して、そうなると、やっぱりオリジナルのシングル・ヴァージョンも聴きたくなってくる。
このBOXは『Complete』と謳ってるものの、これだけではコンプリートではなくて、まだまだシングルのカップリング等に、レア・テイクがあるらしい。
どうやら、そのレア・テイクのいくつかは『The Sound Of The Smiths』に収録されているとの事。
なんだ、結局ベスト盤も買うハメになるのか...。
↑ 「William, It Was Really Nothing」
こういう曲を聴くと、ネオアコ・バンドだったんだなあと痛感する。