ジョンのソロ・アルバムで、僕が一番好きなのがこの作品。
だけど、実は、今までこのCDを持ってなかった。
というのも、理由が2つあって、まずは、これはアナログ・レコードを持ってたという事。だから、全曲知っている。
そして、CDとしては、90年にリリースされた『Lennon』という4枚組BOXセットを買ったら、その中に、このアルバムの曲のほとんど(12曲中9曲)が収録されていたという事。外れた3曲のうち1曲はインスト、1曲は即興演奏なので、まともな歌モノは1曲のみだった。
だから、わざわざこのアルバムを単体で買う必要性が少なかったのだ。
『Lennon』を持っていたお蔭で、長い間ジョンのソロを単体で買う事はなかったのだが、2000年代に入って、『Imagine』を皮切りに、少しずつリマスター盤がリリースされたので、それらを順番に購入していって、いずれは『Walls And Bridges』のリマスターが出るのを楽しみにしていた。
しかし、いざ、このリマスター・シリーズが『Walls And Bridges』の番になった時は、暗黒のCCCD時代。CCCDじゃあ、とても買えないよ、というわけで、ますますこのアルバムとも縁遠くなってしまったのだ。
だけど、ジョンのソロで一番好きなアルバムなのに、CDを持ってないのはどうよ?という思いはずっとあったし、なんと言っても、大好きな曲「What You Got」が、『Lennon』には未収録で、この曲を聴きたければ、このCDを買うしかないという事で、いつかは手に入れたいなあと思ってはいた。
そして、このアルバムを購入する機会は突然現れた。
先日、HMVに行った時に、1000円セール・コーナーをチェックし終わった後、通常のアーティスト別の棚をなんとなく見てたら、ジョンのコーナーに、このアルバムが1000円で置いてあったのだ。1000円のコーナーではなくて、こっちにも1000円のものがあるなんて。
しかも、10年の最新リマスター盤。元の値段は2400円とのシールが貼ってあった。Amazonでも1000円では買えないんだから、これはここで買っておくべきだろう、と即決。
ようやく、大好きなこのアルバムをCDで買う事ができた。
74年リリースの作品で、邦題は『心の壁、愛の橋』。このアルバムの曲名に付いた邦題はどれも素晴らしいと思う。
1曲目「Going Down On Love」はパーカッションの響きと共にゆったりと始まる。時折入るピアノのフレーズも美しく、ジョンの歌声は優しさと力強さが同居している。
2曲目「Whatever Gets You Thru The Night」は全米NO.1にもなった、エルトン・ジョンとのデュエットのロック・ナンバー。ホーンも効果的に煽っていて、二人ともテンションが高く、注意して聴かないと、どちらがジョンでどちらがエルトンの声なのか聴き分け辛い。声質が似てるのかなあ。
3曲目「Old Dirt Road」もピアノとストリングスが美しく響き、ジョンの声が優しい。
4曲目「What You Got」は、この曲のためだけに、このアルバムを買ったと言える大好きな曲で、リフがカッコ良く、ジョンが一番ハイテンションで叫びまくってるファンキーなナンバーだ。もっと評価されていいと思うのだが。この曲を聴いたのは20年以上振りになるのだろうか...。
5曲目「Bless You」でのジョンの女々しく聴こえるヴォーカルもたまらない。イントロからもう切なくて、アコギの音も印象的だが、エレピがいいフレーズを奏でている。
6曲目「Scared」は、その名の通り、不安に駆られている様が表現されている曲で、超やるせないメロディ。そしてホーンが煽りまくる。ヨーコと別居していて、不安定な生活をしていたジョンの様子が感じられる。
7曲目「#9 Dream」は、極限まで優しくフワフワした曲。「Scared」の後だから余計にホッとする。サビなんて特に気持ちいい。最初に聴いた時は、テンポを上げた「Jealous Guy」みたいだなあと思った。途中に入る囁き声がヨーコの声に聴こえるのだが、この時はヨーコとは別居していたので、メイ・パンではないかという説もあるらしい。でも、どう聴いてもヨーコだよなあ。
8曲目「Surprise,Surprise」はイントロのギター・リフが印象的。テンポはゆったりしてるけど、明るい感じの曲だ。
9曲目「Steel And Glass」はアコギのストロークがフェイド・インして始まる所からしてカッコいい。ジョンの伸ばすヴォーカルが魅力的。
10曲目「Beef Jerky」はインスト。ブルージーなロック・ナンバーで、ギターとホーンががんばっている。ポールの曲にもこんなフレーズの曲があったような...。インストは苦手な僕だけど、これはなかなかカッコ良くて味わいがあると思う。
11曲目「Nobody Loves You」はフランク・シナトラを意識したというだけあってスタンダード・ナンバーの趣き。優しく歌っていたジョンが、後半、突然シャウトする件は感動的。
12曲目「Ya Ya」はおまけみたいなものか。まだ子供のジュリアンが叩くドラムに合わせた即興演奏で、1分程で終わる。
とにかく、一番好きなアルバムとあって、どの曲も大好き。どれも一聴した時から気に入ったし、何度聴いても感動できる曲揃い。20年以上振りに通して聴いたけど、やっぱりいいアルバムだ。
ヨーコと別居しているせいで、落ち込む一歩寸前で踏みとどまり、それでも優しく強く生きていくというような決意が垣間見れる。まあ、同時にダメ人間・ジョンの側面も見れるけど(笑)、そこがこのアルバムの魅力。
だけど、期待してたリマスター効果は...僕のショボ耳にはわからなかったなあ。
最新リマスターって言っても、この程度なの?革命的なリマスター効果があるとの声もあるビートルズのリマスター盤は、僕はいまだに聴いてないんだけど、ジョンのリマスターがこの程度だと、ビートルズの方も期待できないのかなあ...。
VIDEO
↑ 「What You Got」
リフがカッコ良く、ジョンが一番ハイテンションで叫びまくってるファンキーなナンバー。