1曲目「The Headmaster Ritual」はスミス得意の軽快でポップなネオアコ・サウンドに、力強さが加わった佳曲。オープニング・ナンバーとしてはなかなか華々しくていいんじゃないかな。「♪ララララララライエ~」が耳に残る。
2曲目「Rusholme Ruffians」はアコギの音に跳ねるベースが印象的なロカビリー風味の曲。
3曲目「I Want The One I Can’t Have」も軽快なのだが、なかなか鋭さもある。涼しげなギターのフレーズにモリッシーのファルセットが絡むスミスのパターン。冒頭からここまで明るい曲が続くなあ。後半盛り上がってのキレのいいラストがカッコ良い。
4曲目「What She Said」は、このアルバムで一番激しい曲か。でも、激しいのに音がちょっと引っ込んでいて、あまり迫力が感じられないのが残念。
5曲目「That Joke Isn’t Funny Anymore」はシングル・カットされたが、売れなかったという。そりゃそうだ。ゆったりしていて、シングルにするには恐ろしく地味だもの。どうしてこの曲が選ばれたのか不思議だ。
6曲目「Nowhere Fast」。この曲からB面となる訳だが、このB面の流れ、好きだなあ。A面は明るい曲ばっかだったけど、ここにきてやっと、少しだけマイナーなメロディが登場する。慌ただしい感じがいい。
7曲目「Well I Wonder」は雪でも降ってるかの様なアコギの音が綺麗で素晴らしい。ラストには雨の音が聴こえるけど、僕には雪のイメージ。哀愁を帯びた大人のサウンド。
8曲目「Barbarism Begins At Home」が、このアルバムの中で一番好きな曲かな。リフも印象的だし。モリッシーは1stでは救急車みたいだったけど、ここでは犬みたい(笑)。相変わらずゆらゆら歌ってるけど、演奏はなかなかファンキーで、ラストのベースがカッコいい。
9曲目「Meat Is Murder」は...メッセージ性が強いかな。僕は歌詞を読まないからわからないけど、この肉食うなというテーマは、ファンはどう受け止めてるんだろう。スミスの言う事だからと、影響される人も多いのかなあ。このテーマに沿う様に、サウンド的には、このアルバムで一番陰鬱な曲だ。陰鬱な曲をいかに美しく響かせるかがスミスの真骨頂だ。
一聴して思ったのは、ここには初めの頃の軟弱なサウンドはなく、確実にレベルアップしてるな、という事。大人になった、成長したというのがわかる。
しかし、レベルアップしてればいいという訳ではなくて。
いまいち地味な感じがするなあ。なかなかいい感じの曲はあるものの、何故かあまり印象に残らない。聴き終わって、あれ?どんな曲があったっけ?みたいな。
シングルというか、代表曲になる様な曲がないからかなあ?一時期、シングルにもなった「How Soon Is Now?」が追加収録されたCDが売ってたみたいだけど、僕はあの曲嫌いなので(笑)、入ってないオリジナル・ヴァージョンに戻ってて良かった。
やっぱり、サウンド、メロディ共に1stや『Hatful』の方が好きかな、僕は。
いや、この2ndがダメだという訳ではないけどね。
↑ 「Barbarism Begins At Home」
モリッシーは犬みたい(笑)。相変わらずゆらゆら歌ってるけど、演奏はなかなかファンキーで、ラストのベースがカッコいい。