実は、ポール・サイモンは、91年の東京ドーム公演に友人に誘われて観に行ったんだけど、知ってる曲がほとんどなくて苦痛だった(笑)。
そんな苦い思い出もあってか、ポール・サイモンはもちろん、サイモン&ガーファンクルまで、CDを買うには至ってなかった。S&Gなら好きな曲は結構あったんだけどね。
そしたら最近、S&Gのアルバムをすべて収めたBOXが3000円くらいで売ってるのを知って、興味が出た。
で、早速全アルバム、全曲を試聴してみたんだけど...うーん、どれも単調で暗いフォーク・ソングに聴こえて、特に好きになりそうな曲が見つからなかった。これは、全アルバムを買う程ではないな、と。
でも、シングルで有名な曲、好きな曲は持っておきたいなと思い、ベスト盤くらいは買っておいてもいいかな、と。
チェックしていたベスト盤が650円になったので、買おうと思ったら、在庫なしで発送まで10日の表示。入荷するまで待とうと思ったら、今度は価格が1200円に跳ね上がってしまった。こりゃまた買うタイミングに失敗したな、と。また価格が下がるまで気長に待とうかなと思ってたら、2~3週間たったら730円に。底値と思われた650円には届かなかったけど、また価格が下がるのを待ってるうちに逆に上がってしまったら困ると思ったので、730円で手を打った。
99年に編まれたベスト盤の08年再リリース盤みたい。
シングル、アルバム曲がほぼ年代順に並んでいる。完全に年代順にしてくれたらいいのに、微妙に違う曲が何曲かある。これには意味があるんだろうか。
でも、S&G初心者にとっては、代表曲がほぼ網羅されたこの選曲には満足できるんじゃないかな。
1曲目「The Sound Of Silence」。言わずと知れた出世作。アルバムを試聴した時に、1stアルバムと2ndアルバムのどちらにもこの曲が収録されていて、どういう事かと思ったら、1st収録のものがオリジナルで、アコギの演奏のみの弾き語り曲だった。それにエレキ・ギターやドラムを加えた新装版をシングルとしてリリースしてみたら大ヒットしてしまったとの事。その新装版が2ndに収録されたんだね。たしかに、これは素晴らしい改訂で、エレキ・ギターの音色がいいアクセントになってるし、ドラムが入って力強くなってるのもいい。2人のハーモニーも素晴らしいんだけど、アコギだけのバックではやはり地味なんだよね。
2曲目「Homeward Bound」。のんびりした感じ。これはカントリー調と言うのかなあ。カントリーは苦手なんだけど、この曲は許容範囲。
3曲目「I Am A Rock」。明るく力強い曲。タイトルを叫ぶサビが印象的。エレキ・ギターがキラキラしている。
5曲目「Scarborough Fair」。S&Gで一番好きなのがこの曲かもしれない。儚く切ないハーモニー。消え入りそうなベルの響きにも心を奪われる。
6曲目「The 59th Street Bridge Song」。ビーチ・ボーイズみたいなハーモニーと遊び心がいい。
7曲目「A Hazy Shade Of Winter」。S&Gにしては、なかなか激しいアレンジでカッコ良く、大好きな曲。何やら胸騒ぎを覚えてしまう。
8曲目「At The Zoo」。穏やかな弾き語りかと思ったら、サビはなかなか力強いロック調になる。
9曲目「Fakin’ It」。これはどことなくビートルズを感じさせられたなあ。イントロ、間奏などかなり練られていて、単調になってない。
10曲目「Mrs. Robinson」。これはキャッチーでノリが良く大好き。イントロのアコギのフレーズが跳ねている。「♪ティッティティリ...」とか「♪ヘイヘイヘイ」とか、思わず口ずさんでしまう。
11曲目「Old Friends/Bookends」。派手な「Mrs. Robinson」の後にこれが来るとクール・ダウンさせられる。喪失感というか...失ったものはもう手に入らないんだなあという気にさせられる。ストリングスが目一杯盛り上げた後のアコギが儚い。
12曲目「The Boxer」。ボクサーと言われると激しい曲を想像してしまうけど、割とおとなしめの曲で面食らう。「♪ライラライ」とボクサーと来ると、アリスの「チャンピオン」に影響を与えたのでは?と思ってしまう。
13曲目「Bridge Over Troubled Water」。S&Gにしては異質な感じがする曲だと思ってたら、珍しくアコギが登場せず、ピアノに導かれる曲だからか。でも、いかにも名曲という雰囲気を漂わせてるね。「明日に架ける橋」という邦題もいい。
14曲目「Cecilia」。これはどこかで聴いた事あった。S&Gの曲だったのかあ。お祭り騒ぎ的な明るさがある。
17曲目「El Condor Pasa」。「コンドルは飛んで行く」を初めて聴いたのは、小学生の時の音楽の時間。教科書に載ってたんだよね。教科書に載るくらいだから、アメリカの古い...それこそネイティブ・アメリカンくらいの時代の曲だと思ってたら、後になって、S&Gによるポップスだったと知ってビックリしたのを憶えてる。砂漠、荒野、草原、谷、風なんかをイメージするね。エルコンドルパサーと言えば、競馬ファンにとっても思い入れが。
19曲目「America」。前曲がライヴの曲で、観客の声援が鳴りやまないうちにこの曲のイントロが始まる。どうしてだろう。この曲はシングルにもなった曲なのに、ライヴ曲とのメドレー形式とは何故?オリジナル・テイクじゃないのかなあ。曲自体は好き。
20曲目「My Little Town」。70年に事実上の解散をした後、75年に再びS&Gとして録音された曲。サビがグイグイと来るので非常に好き。ピアノやホーン、パーカッションが盛り上げている。
アコギを基調として、時にエレキ・ギターのフレーズが華を添える、これぞフォーク・ロック。
とにかく、落ち着く音楽だよね。心が洗われるというか、静かに穏やかになりたい時にピッタリだ。
だけど、欠点としては、アレンジが単調な事。ちょっと油断するとどれも同じような曲に聴こえてしまうし、暗い曲が続くとなんだか落ち込んでしまう。
「落ち着く」というのと、「落ち込んでしまう」というのと、微妙な裏表なんだよなあ。
↑ 「Scarborough Fair」
S&Gで一番好きなのがこの曲かもしれない。儚く切ないハーモニー。消え入りそうなベルの響きにも心を奪われる。