13年リリースの9thアルバム。
前作が8年振りのアルバムだったので、次も待たされるんだろうなと思ってたら、意外にも前作から4年で、突然のリリースとなった。
しかし、聞くところによると、これは最近作ったものではなく、04~05年頃に作られたもので、お蔵入りになってたものが、ネットに流出してしまったため、正式リリースの運びになったんだとか。でもたしか前作も、新作ではなくてお蔵入り音源のリリースだったんじゃなかったっけ?せっかく作ったものをお蔵入りにしすぎなんだよ。作ったらすぐにリリースする、純然たる新作は届けられないものか。
まあ、プリファブの曲が聴ければなんでもいいけどさ。
1曲目「The Best Jewel Thief In The World」。
予想以上に華々しいオープニング。ベース・ラインの心地良いこの曲はノリも良く、全盛期に勝るとも劣らない出来。ハーモニカの響きも瑞々しい。プリファブが帰ってきたと思えて、テンションが上がる。
2曲目「List Of Impossible Things」。
スローなナンバー。パディのメロディ・センスが光る。間奏のジャジーなギター・フレーズもいい。ビーチ・ボーイズの昨年の新作を思い出す。
3曲目「Adolescence」。
高鳴る心臓の鼓動の様なベース・ラインが印象的。
5曲目「Devil Came A Calling」。
中盤のハイライトとも言える好きな曲。アルバム前半の明るさやゆったり感が消え、マイナー調でグッと締まる。雨の中、何かが迫ってくるような不安感。
6曲目「Billy」。
前曲の不安から一転、安心できる曲。
7曲目「The Dreamer」。
この曲も穏やかだ。ピアノもギターも印象的なフレーズを奏でて美しい。
8曲目「The Songs Of Danny Galway」。
明るく優しい曲。
9曲目「The Old Magician」。
アコギの鳴りが非常に素晴らしい。カントリー風ではあるけれど、英国風で好きな曲。ハーモニカには胸締め付けられる。
10曲目「Mysterious」。
イントロのハーモニカのフレーズからやられてしまう。中盤からのオルガンとの絡みは最高。レゲエのようでいてレゲエではないな。あくまでポップス。9曲目10曲目と、アルバム終盤はすごくいい感じで終わる。
前作ではラップを取り入れたりと、新しいサウンドに挑戦した面もあったのだけれど、今回のアルバムは、往年のプリファブ・サウンドそのもので安定感抜群。奇をてらったようなものもなく、いつものプリファブだと安心して聴ける。アコギやピアノの音の煌めき。そして効果的に使われるハーモニカの瑞々しさ。メロディもいつものように美しい。
惜しむらくは、これぞというキラーチューンがない事だけど、アルバムとしてはまとまっているし、聴きやすい。往年の傑作群と肩を並べられる出来だと思う。
パディはまた極上のポップスを届けてくれた。
↑ 「Mysterious」。
イントロのハーモニカのフレーズからやられてしまう。中盤からのオルガンとの絡みは最高。レゲエのようでいてレゲエではないな。あくまでポップス。