11月21日(木) @東京ドーム
Out There Japan Tour最終日。
いよいよ観に行くポール・マッカートニーの最終日を控え、これまでの公演のセットリストを見ると、不安で不安で仕方なかった。
まず、先週、大阪公演初日のセットリストを見てガックリ。
新アルバムからは3曲くらいやるだろうと思ってたら、4曲もやった。それはアルバムを聴いて予想していた通りの選曲で、どれも好きな曲だからまあいいのだが、問題は、新曲のせいでセットリストから外された曲。
新アルバムから「Everybody Out There」をやるとすれば、似た曲調の「Mrs.Vandebilt」は外されるんだろうなあと思ってたらその通りで。でもまあ、それは想定内。
問題は、「Your Mother Should Know」が外された事!
この曲、ビートルズ時代のポールの曲の中で1番好きな曲。この曲と「Mrs.Vandebilt」が披露されるからと思ってチケットを獲ったと言ってもいいくらいなのに、2曲ともカットとは...だいたい、なんで「Your Mother Should Know」がカットなの?その代わりに入ったのが「New」と「Queenie Eye」。曲調似てるかあ?日本では披露してない「Your Mother Should Know」じゃなくて、もう既にやった事のある曲をカットすべきだったんじゃないの?他にあるじゃない、アレとかアレとか...ほんとガッカリ。
でも、前回の公演の時は、東京より後からやった大阪公演では1曲追加になったから、今回もそういう奇跡がおきないかなと思ったのだけれど...。
大阪公演が2日とも同じセットリストだったので、ずっとこのまま全公演いくかと思ってたら、福岡公演では「Get Back」が「I Saw Her Standing There」に変更。
個人的には、この2曲はどっちでもいい(笑)。どっちも聴いた事あるしね。
でも、もしかしたら東京ではこういう変更もあるのかも、という期待と不安が。
東京初日は大阪公演と同じセットリストだったらしく、このまま丸く収まるのかと思ったら、東京2日目は大きく変更!なんと初日と3曲も違う。
「Jet」をやった代わりに「Listen To What The Man Said」が外された!
なんて事だ。ガクガクブルブル...。
「Jet」も好きな曲だけど、もう聴き飽きた感がある。そのために「Listen To What The Man Said」が外されるなんて...この曲はもちろん過去の日本公演ではやった事のない曲だ。僕が楽しみにしていた曲の1つだ。最終日はどうなるんだろう。もちろん僕の願いは「Listen To What The Man Said」だ。この曲まで聴けないなんて事になったら...ああ、不安でたまらない。
それにしてもポール、どうしてライヴでのレア曲を外すかなあ、わかってないよポール。
ライヴを観るからという緊張のせいではないんだろうけど、前の日は眠れなかった。3時間も眠れなかった。体調が悪い。
2階席で座って観てたりなんかしたら、ライヴ中に寝てしまう心配が。映画やライヴに寝不足で参戦すると、途中でウトウトしてしまったなんて事が過去にもあったからね。
まさか当日に寝不足で体調不良とは。嫌な予感が漂う。
到着は5時ちょい前。
東京ドームは04年の氷室京介のライヴ以来だと思うから、もう9年振りという事になるのか。そんなにたつのか。でも全然と言っていいほど変わってないように思える。
いつものように、まずはドーム外周を一周。
中で行われているリハーサルの音を聴こうと、何人もの人が壁に耳を張り付けていた。なんだか微笑ましかった。
当日券売り場では、まだ当日券を売ってるようで。基本的なS~B席は売り切れてて、「参加席」なるものがあったのはビックリ。8500円くらい。ステージは全然観えないんだって。
それから、噂で聞いてたけど、グッズ売り場がすごい事になってた。人の波で、どこが行列の最後尾なのかがわからない。もともとグッズは買うつもりはなく、どんなもの売ってるのかくらいを見ようとしてた程度なのだが、これでは様子を見に行くのも無理。あっさり引き下がる事にした。
今回、ライヴ前のお楽しみは、普段ブログでお世話になっているryoさんとfmbmrtjd-mmkkaiさんにお会いできる事。
今回のライヴはチケット代が高いし、セットリストも不安だったから、ライヴを観に行くべきか悩んだ。だから、少しでも「行って良かった」と思える要素が欲しくて、思いついたのが、「普段ブログでお世話になっている方々と会えないかなあ」という事だった。そしたら、僕が行く最終日に、偶然ryoさんとfmbmrtjd-mmkkaiさんも行くとわかって、思い切って、会ってもらえないかと打診してみたら、お二方とも快諾していただき、ライヴ前に会える事になったのだ。
5時50分頃、合流。
お二方ともブログでのイメージ通りで、とてもいい人!素敵な若者たち!
普段ブログを読んで、お互いにどんな事に興味があるのかはわかっていたから、話題が尽きる事はなかった。偶然にも3人とも同じ41番ゲートからの入場だったので、一緒に入場し、ロビーで6時半過ぎまで話していた。
ライヴには1人で行くのが当たり前だったら、こうしてライヴ前に話をして盛り上がれるというのはすごく楽しかった。
もうこれだけで、ライヴに来て良かったと思えちゃったね。
まだまだ話したりなかったけれど、そろそろお時間。
2人と別れて、まずトイレに...と思ったら、ものすごい行列で焦った。女子トイレが並ぶのはわかるけど、男子もこんなに並ぶとは。階段で下の階まで行って並ばされたよ。
それから自分の席を探す。
僕は安いB席(12500円)。
2階3塁側13列391番。
あらかじめネットで客席表を確認したら、列の真ん中くらいか、嫌だなあと思ってたのだけれど、実際に行ってみたら、通路側から3番目の席だった。しかも最後列で、まさに東京ドームの一番上。後ろの人を気にする必要がない。これならあまりストレスなく観られる。極度の高所恐怖症だけど、なんとか大丈夫。
安いB席だから、よほどステージの真横で、スクリーンなんて観えないんだろうと思ってたんだけど、真横ではなく斜めだったので、スクリーンもばっちり観える角度。これは意外。
そもそも、スクリーンは正面だけでなく、ステージの真横にも小さいものが設置されていて、おそらく「参加席」なのであろうステージ斜め後ろに陣取った人たちからも、ステージは見えなくてもスクリーンは見られるようになっていた。これなら「参加席」での鑑賞も充分アリだね。
結局、僕の席は、思ってたよりずっといい席だった。ライヴの苦手な僕にとっては、ストレスなく観られる席というのは大きな問題。でも、これならB席を獲っても大正解だったと言える良席だった。
そしてなんと、僕の2列前には、先ほど別れたばかりのfmbmrtjd-mmkkaiさんの姿が。5万人近くある座席の中で、知り合いと座席がそんな近くだったなんて凄い偶然だ。
会場内は10代の若い人から70歳以上の人まで様々。でもやっぱり平均年齢は高めかな。それが心地良くて安心感もあるのだけど。男性も女性も万遍なく。僕の両隣りは僕よりちょい上の女性方だった。
7時の開演時間をとっくに過ぎても、なかなか始まらない。開場時間も30分以上遅れてたから、開演もそのくらい遅れるんだろうなあと思いながら待ってた。
携帯で周りを撮影してる人が多かったので、折角だからと僕もそれに倣う。
そして7時30分。
01.Eight Days A Week
02.Save Us
03.All My Loving
04.Listen To What The Man Said
05.Let Me Roll It
06.Paperback Writer
07.My Valentine
08.Nineteen Hundred and Eighty-Five
09. The Long And Winding Road
10.Maybe I’m Amazed
11.I’ve Just Seen A Face
12.We Can Work It Out
13.Another Day
14.And I Love Her
15.Blackbird
16.Here Today
17.New
18.Queenie Eye
19.Lady Madonna
20.All Together Now
21.Lovely Rita
22.Everybody Out There
23.Eleanor Rigby
24. Being For The Benefit Of Mr.kite!
25.Something
26.Ob-La-Di, Ob-La-Da
27.Band On The Run
28.Back In The U.S.S.R.
29.Let It Be
30.Live And Let Die
31.Hey Jude
アンコール①
32.Day Tripper
33.Hi, Hi, Hi
34.Get Back
アンコール②
35.Yesterday
36.Helter Skelter
37.Golden Slumbers~Carry That Weight~The End
先日ラジオで偶然聴いた、東京ドーム初日レポートの話だと、「登場の瞬間を見逃すな」との事だったけど、普通に手を挙げて歩いてきただけだったな(笑)。特別な演出はなかった。
赤のコートを着て、トレード・マークのヘフナーのベースを抱えて。
やっぱりあのベースがポールだよな。カッコいい。
ドラムの人が、前回の02年公演の時にもいたよなとすぐわかったけど、あとで調べてみたら、他のメンバー合わせて4人とも、02年以来不動のメンバーなんだって。スクリーンにはポール中心に映ってて(当たり前だけど)、他のメンバーがよくわからなかったのが残念。
01.「Eight Days A Week」。
ビートルズ時代の名曲だけど、今までのライヴのオープニング曲と比べると、ちょっとあっさりしてた印象だったかな。この曲は僕としてはジョンの曲というイメージだったから、ジョンと一緒ではなく、ポールが一人で歌う、というのもちょっと物足りなさに拍車をかけたのかもしれない。いえいえ、もちろん悪くはないのだけれどね。とにかく始まった!
02.「Save Us」。
NEWアルバムのオープニングを飾ったこの曲を早くも披露。ツアー前半では「Junior's Farm」だったのがこの曲に替わったわけだが、個人的には正解だったかも、と思った。新曲に対するポールの自信みたいなものも溢れていたし、ノリのいいスピード・ナンバーだから、自然に体が疼く。一気に現役のロック・バンドの感じがしてきた。
「トーキョー、タダイマー」「ニホンゴガンバリマス、デモエイゴノホウガトクイデス」で場内を沸かせて。
03.「All My Loving」。
やっぱり人気のある曲だ。フリフリウキウキ。
そして問題の4曲目。願い通り「Listen To What The Man Said」をやってくれるのか、それとも「Jet」になってしまうのか。祈るような思いだった。こんなに「Jet」が聴きたくないと思ったのは初めてだ。
04.「Listen To What The Man Said」。
軽快なイントロが流れた瞬間ガッツポーズ。そして大拍手。やった、良かった、ホッとした。ウイングス屈指の胸キュン・ポップ・ソング「あの娘におせっかい」が生で聴けたよ...。安心感と共に、甘くドリーミーな時間だった。
05.「Let Me Roll It」。
ここからポールはベースからギターに持ち替えて。これからバリバリギターを弾くぞと。この曲、ポールもお気に入りで、もう何度もライヴで披露している。ファンの間でも人気がある、らしい。でも僕的にはイマイチで。ブルース寄りだからかなあ。プラスティック・オノ・バンドみたいなハードなギターのフレーズとか、聴き所はあると思うんだけど、どうして僕の心に響かないのか...。今回は曲の後半でジミ・ヘンドリックスに捧げるインスト付き。
06.「Paperback Writer」。
イントロのハーモニーが美しかった。この曲、ベースがぶいぶい鳴ってるのが肝だと思うんだけど、ポールはベースじゃなくてすごく残念。
07.「My Valentine」。
ここからポールはドラム横のピアノに移動して。僕はステージの左斜めから観ているので、このピアノにポールが座ると正面で歌ってるように観えるのが嬉しい。今の奥さん・ナンシーに捧げる曲だとして、しっとりとこの曲を。これが入ってるアルバムは基本的にはカヴァー・アルバムで、カヴァーが苦手な僕にはどうにもかったるく聴こえてしまうアルバムなのだけれど、そこに収まってるポール作のこの曲は出色の出来で、他のスタンダードに比べてとび抜けていい曲なんだ。今回の来日公演では、新曲のせいで外されそうな曲の筆頭と思われたけど、外さなかったのは、奥さんのための曲だったからか。納得。
08.「Nineteen Hundred and Eighty-Five」。
僕的には前半のハイライトのひとつ!ウイングス・ファンのための曲だとしてこの曲を。大ヒット・アルバムのラストを飾る曲とはいえ、シングル・カットもされなかったし、絶頂期のウイングスさえライヴではやらなかったんだから、今頃になって演奏してくれるなんてホントビックリなレアな曲だよね。ポールがピアノを叩くように弾く姿がカッコいい。盛り上がるよね。やっぱりウイングス大好きだ!
09.「The Long And Winding Road」。
冒頭でポールがポロロンと爪弾くフレーズで、なんの曲かがすぐわかる。一呼吸おいての「♪ザ・ロ~ング...」には何度聴いてもうっとりさせられるよね。バラード苦手の僕でも大好きな曲。感動。
10.「Maybe I’m Amazed」。
「リンダノタメニ、カキマシタ。...カキマシタ!」書きましたを2回言ったポール(笑)。日本語の響きが気に入ったのかも。さっき、今の奥さんに捧げる曲を披露したばかりで、今度は2つ前の奥さんに捧げる曲を。2人の女性に対する曲を同じライヴでサラッとやれちゃう所は素敵というか、さすが外国人というか。日本人の感覚ではなかなかできない事なんじゃないかなあと思う。そうだよね、リンダのための曲なんだよね。これまた熱い思いが伝わってくるバラード。しっとりとした「My Valentine」との対比が面白い。前にリンダと一緒だった時も観たんだよなあ。あれはもう20年も前の事なのか。
11.「I’ve Just Seen A Face」。
今度はポール、ピアノを離れてアコギを抱える。イントロの印象的なフレーズを弾き始めた時、大好きなフレーズなのに一瞬、なんの曲だか思い出せなかった。ちょっと地味だけどほのぼの感があっていいかも。前に聴いた事のある「Things We Said Today」への差し替えがなくて良かった。
12.「We Can Work It Out」。
これも02年公演で聴いたけど、またやってくれて嬉しい曲の1つ。サビの部分で、自分がジョンになったつもりで歌ってポールとハモるのが快感。「♪Life Is Very Short」...40を過ぎた自分には染みてくる部分。若い頃はこんな思いはしなかったのに。
13.「Another Day」。
イントロなしで歌い始める「♪Every Day She Takes A...」に思わず胸がキュンと跳ねた。大好きな曲。93年の来日公演で披露されたとの記録もあるのだけど、まったく記憶にない。大好きな曲なのに聴いた記憶がないというのはおかしい。あの時やってないよね?誰か教えてくれ。でもまあいい。今回ちゃんと聴けたから。しかしそんな余計な事を考えてると、この曲を充分堪能する事を忘れてしまいそうになるので焦る。この幸せな時間よ続いてくれと願った。
14.「And I Love Her」。
これまた一層アコースティックな響き。静けさが「来る」。
15.「Blackbird」。
アコースティックはまだまだ続く。いつのまにかポール一人きり。ポールの見事なスリー・フィンガー・テクニックを堪能したいところだったけど、残念ながらそれには音が悪すぎ。とても美しい響きとは思えなかった。これはポールが悪いんじゃない。それから、原曲はとても短い曲という印象なんだけど、今回は長く感じた。フレーズ足した?気のせい?
16.「Here Today」
ジョンのための曲だと言ってこの曲を。でも、11年前もこれがジョンの追悼曲だったよね。ジョンを偲ぶなら他にもやってほしい曲があったのでは...と思ってしまったが。でもポールがジョンを思って書いた特別な曲なんだろう。そうだよなあ、ポールはあのジョン・レノンと友達だったんだよなあと今さらながら実感した。そしてその瞬間、僕が観ているのはあのポール・マッカートニーなんだよなあとも実感した。
17.「New」。
アコースティック・コーナーが終わり、ステージ中央に派手なペイントのピアノが。ここからはポール自信の新曲。「日本でNO.1にしてくれてありがとう」とポール。誰もがビートルズを思い出す、ポールの新たな名曲。華やかで温かい。
18.「Queenie Eye」。
引き続き新曲。今回披露された新曲4曲の中では、一番期待値の低かった曲だったけど、曲中に「Hey!」とか「Oh!」とか掛け合いが出来るような所があるのが発見で、これは意外にライヴ映えするかもと思った。
19.「Lady Madonna」。
これもイントロで観客は大喜び。「♪Papapapa~」のコーラスを一緒に歌うのが楽しい。
20.「All Together Now」。
ポールはまたアコギに持ち替え、『Yellow Submarine』からの曲をと言ってこの曲を。これもライヴで取り上げるのが意外なレア曲。でも、始まりはほのぼのとしてるものの、サビはみんなで合唱しましょうというノリになるから、ライヴ向けと言える曲だったのかもしれない。そして、ジョンのヴォーカルが印象的だったBメロをポールの声で聴くというのがこの曲のツボなのかもしれないね。
21.「Lovely Rita」。
『Sgt.Pepper』からはこの曲をと言って。『Sgt.Pepper』、ポールにとって自信作だったんだろうなあと思った。でもあのアルバムの中では地味目なこの曲を取り上げる所に妙味がある。メンバーが弾くピアノの転がるようなフレーズが素敵だった。
22.「Everybody Out There」。
新曲の中で一番楽しみにしていた曲。なんと言っても「Mrs.Vandebilt」に替わる曲だからね。満足させてくれないと困る。ポールがザクザクとアコギを弾くのが力強い。思わずこちらも力が入る。真剣に曲の世界に取り込まれる。中盤でバンド・メンバーと共に「オーオオ!」と掛け合うパート、観客が一体となるかと思って僕も期待しながら歌ったのだけど、観客は全然歌ってなかった。思ってた程この曲は浸透してなかったみたい。名場面になるかと期待してただけに残念。
23.「Eleanor Rigby」。
イントロのアコギのミュート音で、なんの曲かすぐにわかった。でもこの曲も02年公演でやったから新鮮味はないな。ていうか、02年公演のセットリストと随分曲カブッてるな。17曲も同じか。これはちょっと多いのでは...まあ外せない曲が多いのもわかるけど。
24.「Being For The Benefit Of Mr.kite!」。
これはモロにジョンの曲。この曲をポールがライヴで取り上げる事になるなんて思いもしなかったよね。こういう曲をやるのが、真のジョンの追悼という気がした。アレンジは原曲と変わらず、幻想的で万華鏡のような楽しさ。ただ、やっぱりポールの声だと甘すぎるのかな。この曲はジョンのものなんだな、と。この曲の途中で、ステージ上からレーザー光線が発射され、ドームの天井に幻想的な模様を描いてる事に気付いた。アリーナにいたのではなかなか気づきにくい事。あ、でも演奏の終わり方がちょっとあっさりしすぎてたかな。もっとドリーミーにしてほしかった!でもあの再現は無理かな、やっぱ。
25.「Something」。
今度はジョージの追悼コーナー。ポールがウクレレで弾き語ってジョージを偲ぶ。でも、これって02年公演でもやったよね。せっかく追悼するんだったら、別の曲にしてほしかった、ジョージにだって他にいい曲たくさんあるのに。11年前とまるで進歩がないじゃないか...と思っていたら。ポールが弾き語りをしてると思ってたら突然ギター・ソロが始まって、一斉にバンド・サウンドに。ポールもいつのまにかウクレレからギターに持ち替えてて、原曲通りの「Something」になっていた。これは11年前にはなかった演出でビックリ。事前にネットでレポート読んでたけど、こんな演出の事は全然書いてなかったよ。僕にとってはサプライズ。始まった時は文句タラタラだったけど、終わってみれば大満足の曲。
26.「Ob-La-Di, Ob-La-Da」。
これも、今までライヴでやりそうでやらなかったからレア曲だ。みんなで盛り上がれるパーティー・ソングだ。楽しいね。でもこれ、中盤のホーンはバンドの都合上キーボードで代用されてたけど、これが本物のホーン・セクションで演奏してたら、かなり興奮したフレーズだろうなあと思った。
27.「Band On The Run」。
僕はずっと気になっていた。冒頭の4曲を最後に、ポールがベースを弾いてない事に。マルチなポールだから、ギターにピアノにと披露してくれるのはありがたいのだけど、やっぱりポールはベーシスト。ベースを弾くポールに一番うっとりしちゃう。なので、やっと27曲目となるこの曲でベースに戻ってくれた事が嬉しかった。しかもウイングスの起死回生の「Band On The Run」!ライヴではやり尽くしてるけど、やっぱり外せない。僕も何回でも聴きたい。他の観客もみな同じ!始まった時の歓声がすごかった。そしてこの曲展開。何度聴いても飽きない。中盤のギター・フレーズの後、もう一人のギタリストがギターをアコギに素早く持ち替える瞬間を見たかったんだけど、見逃してしまった。そもそも暗闇でチェンジしてるから見えないものなのか?重々しい空気がアコギのストロークと共に爽やかになっていく所はやはり素晴らしい。解放された~って感じ。素晴らしい。
28.「Back In The U.S.S.R.」。
前曲が終わると同時に飛行機のSE。となればこの曲。この流れはゾクゾク来たね。テンションが上がるポイントだったと思う。
29.「Let It Be」。
ポールはまたドラム横のピアノへ。厳かな雰囲気。この曲もやらないわけにはいかない。
30.「Live And Let Die」。
この曲も定番。何が定番かって、火花と爆音。ポールがメロディアスに歌うバラード部と、スリリングに展開するインスト部のギャップ。こんな盛り上がる曲で、ポールはピアノを弾いてるけど、それで満足なのかなあという思いもあった。ベースやギターじゃなくて、ピアノでいいの?と。だけど、ポールは非常に楽しそうにピアノを連弾していた。ああ、満足なんだろう。最後は爆音にポール自身が耳を塞ぎながらエンディング。
31.「Hey Jude」。
前曲の爆音の影響なのか、歌い始めがなんとなくヴォーカルのキーが不安定だったように思う。でも、それ以外は文句の付けどころのない、よく出来たバラード。コーラスを観客が大合唱するのが恒例。ポールは「ダンセイダケ!」「ジョセイダケ!」と日本語で合図を送る。普通に英語で言うかと思ったけど、今回日本語で言ってくれた事は感動したなあ。MCじゃなくて、曲の合間の煽り言葉だからね。タイミングも大切だし、間違うわけにもいかない言葉。ポール勉強してくれたんだ...。しかしこのコーラス、はたして「nanana」か「dadada」か「lalala」か。僕は「nanana」派。でも周りは「lalala」が多く聴こえたなあ。
ここで本編、ちょうど2時間が終了。
事前の情報通り、ポールはここまで一切、水を飲まない。ノンストップ。だらけない。これはすごいステージング。
アンコール①
32.「Day Tripper」。
これはギターのフレーズがサイケだった。原曲はゴリゴリした音だけど、今回はテロテロした音。そればっかり耳が行っちゃった。たしかこの曲も日本初披露だよね?あ、「ビートルズ」としてやってるか。
33.「Hi, Hi, Hi」。
実は僕、ここで「Yesterday」が来ると勘違いしてた。だから意表を突かれて、官能的なイントロに何が何だかわからなくなってた。そうか、「Hi, Hi, Hi」か。ウイングスの中でもかなりアッパーな曲。みんな我を忘れて盛り上がろうとしてる雰囲気。
34.「Get Back」。
さて、ここで来るのが「Get Back」か「I Saw Her Standing There」か。ちょっと息を飲む。ポールが選んだのは前者。僕的には正解。リズムがズンズンと響く。
1回目のアンコールが終わり、ここで9時45分。
僕は帰りの電車を心配せねばならない。10時44分の上野発の電車に乗りたい。という事は水道橋を10時20分までには発っておきたいわけで。
これからアンコール2回目となるわけだけど、たぶん終わるのは10時過ぎてしまうだろう。最後まで観てから席を立ったのでは、渋滞に巻き込まれるだろう。トイレにも行きたい。時間がない。
ここで、僕は自分の席を離れる決断をした。
ちょっとだけ移動し、席の横の通路で待機。
何故、待機なのかと言うと、次に「Yesterday」が控えているから。ここを見逃すわけにはいかないから。ここは同じ空間にいたいから。
アンコール②
35.「Yesterday」。
実は、入場時にある物が配られていた。それは日本公演最終日となる、この日のみのイベントで、アンコールの「Yesterday」披露時に、ポールに内緒で、ドーム全体を赤いサイリウムで真っ赤に染めよう、というもので、入場者全員にサイリウムが配られていたのだ。あまりライヴに行く事のない僕は、サイリウムなんて手にするのは初めてで、この企画が楽しみだった。
「Yesterday」が始まったらとの指示だったけど、みんなどのタイミングで「Yesterday」が来るかわかっていて、曲が始まる前から赤いものがチラチラと。それでもうみんな曲が始まるのを待ちきれずに一斉にサイリウム点灯。その光景は予想していた以上に美しい、絶景だった。たくさんのサイリウムの光って、こんなに綺麗なのか。感動。この光景はドーム全体が見渡せる2階最上段は特等席なんじゃないかと思った。アリーナ席からはどう見えたんだろう。
ポールは歌い初めにちょっとだけ驚いた表情をしたように見えたけど、特に感極まったような様子はなく淡々と歌っていた。そして、歌の後もサイリウムに関するコメントは特になし(笑)。あれれ、ポール、なんか言ってよ!
36.「Helter Skelter」。
感動の「Yesterday」を体験した後、素早く移動してトイレに行く事に。スリリングなイントロだけは見逃さなかったけど、ヘヴィメタが苦手な僕にとっては、この曲は特に思い入れがないので、トイレ・タイムにしちゃってもまあいいかな、と。さすがにトイレは空いてた。驚いたのは、トイレに入ると、演奏してる音があまり聴こえてこないという事!噂では、ライヴ時にはドームの外にいても音が漏れ聴こえてきて、なんの曲かわかるという話をよく聞いてたから、ドームの中のトイレに入ってるくらいなら充分、音は聴こえるものだと思ってたら、これが小っちゃい音でしか聴こえない。これじゃダメだ。トイレじゃダメだ。
日本初披露のレア曲だし、思い切りハードでロックなこの曲を、バンド・メンバーとどのように演奏したのか...やっぱりちゃんと観たかったなあ、と後から思った。
用を済ませると、出口の回転ドア付近に移動し、それからまた会場内部に繋がる階段を上がって様子を窺う。ステージが観える。終わったらすぐに出られる準備をしながらの階段観戦。やっぱり最後まで観たいもん。
37.「Golden Slumbers~Carry That Weight~The End」。
『Abbey Road』のメドレーの最後を飾る感動的な流れがここでも再現。90年の初ソロ日本公演の時も、最後はこのメドレーだったよね。ライヴの最後がこのメドレーっていうの、すごく気に入っている。いかにも最後ですよという感じで感動的だし、素晴らしいメロディで切なくさせた後のギター・バトルで大盛り上がり大団円、大好き。
これで本当に最後。
でもポールは「マタアオウ!」と言う。
「ホントかあ?」と応える僕。
その時、まだポールはステージから去っていなかったけれど、僕のいる階段には早くも人の波が押し寄せてきた。これには抗えない。僕も会場を後にする事にした。
いつもは、ライヴが終わった後は余韻に浸りながらゆっくり歩くのが好きな時間なのだけれど、今日は時間がない。もう10時を過ぎている。慌てて走り出していた。
振り返って。
ライヴが始まってすぐ思ったのは、「うわ、音悪いな」という事。
東京ドームは音が悪いというのは有名だけれど、過去に行ったライヴではあまり気になった憶えはない。
でも今回はすぐに音の悪さが気になって。楽器の音が歪んで聴こえるし、その楽器の音量にポールの音量が負けちゃってて、よく聴き取れない。知ってる曲だから脳内補正されるけど、知らない曲だったらメロディがよくわからないくらいのレベル。さらにドームの壁に反響した音が遅れて聴こえてきてしまって、こだまの様にメロディがダブッて聴こえるという事態に。
もしかしたら、これが「B席」の正体なのかもしれない。
音響設備の問題もあるから、ステージが「どう見えるか」だけでなく、音が「どう聴こえるか」というのも、席の値段のうちなのかもしれないなと思った。S席なら、もっといい音で聴けたのかもしれないと。
でも、ライヴが進むにつれ、音の悪さもさほど気にならなくなった。慣れてしまったのか、それとも音響スタッフが修正したのか。スタッフの手腕なら拍手もの。
基本的にショボ耳の僕でも、今回のポールの声の僅かな衰えみたいなものはわかった。
11年前とはやっぱり違う。
声はちゃんと出てはいるけど、時々フワッとなるんだよね。ひっくり返る寸前みたいな。
だから、高音になると大丈夫か?という思いが走ってしまう。
音が取れなくなってメロディを崩して歌ったと思われる場面もあったりして。
まあ、考えてみたら71歳だもんね。世間の71歳を考えてみれば、お爺ちゃんだもんね。そんなお爺ちゃんに全盛期の歌を聴かせろって方が無理のある事だよね。
そう思うと、でも、そこはさすがポール。プロとしてのレベルは充分保てていた。シャウトも充分ロックなシャウトでカッコ良かったし、ファルセットも...ちょっとシワ枯れてた気もするけど(笑)、いやいや、充分綺麗に出てた!
あの姿はお爺ちゃんじゃない。スーパースターのポールだ。
結果的には、大阪公演、東京初日と同じ、基本的なセットリストだった。サプライズ的なものはなし。これにはホッとした気持ちもありつつ、どこか残念な気も。
でも、僕としては一番都合がいいからという理由で最終日のチケットを獲ったわけだけど、2日目じゃなくてホント良かった。サプライズ的には一番「美味しかった」と思う人もいるであろう2日目だけど、僕的にはダメだったからね。
これで「Your Mother Should Know」があったら最高だったのになあとは思うけれど、ライヴが終わった頃には、セットリストに対する不満や不安も吹き飛んでいて、生でポールのライヴが観られたという事実に満足していた。
正直な感想を言えば、パフォーマンス的には前回の02年公演の方が上だったとは思う。でもそれは年齢の事を考えれば当たり前の事なわけで。純粋に今回のライヴの内容もちゃんと楽しめるものだったし、初めてポールを観る人でも、落胆する人なんていなかったろうと思う。
さすがポール。ビートルズのポール。世界のポール。
僕も、4回目だし、涙こそ出なかったけど、静かな感動に溢れ、満足感でいっぱいだった。
特に今回の来日劇は、ネットでもテレビでもラジオでも新聞でも、かなり盛り上がってお祭り騒ぎだった。チケットを獲るかどうするかで悩んだ自分が愚かだったと思った。このお祭りに参加できて本当に良かった。もし参加できてなかったら...と思うとゾッとする。
ライヴは良かったし、ブログの知り合いに会う事もできたしで、高いチケット代払った甲斐があった。1日の始まりは嫌な予感がしたけれど、終わってみれば、すべて思い通りにいった、行って良かったと思える素晴らしい日になった。
このレポート書くのもかなり面倒で時間がかかったけど、楽しく書けた。
素晴らしい思い出ができた。