1stで感じた瑞々しいウキウキ感は、時を経ると共に薄れていき、AORポップスの様な趣に。その変化に耐え切れず、どんどんファンが離れていったのは想像に難くない。
僕は5枚組BOXでまとめて買ってしまったから仕方ない(?)けど、リアルタイムで1枚ずつ購入してたら、やはり途中離脱してたろうな。
前作の坂本龍一プロデュース作品も、スローな曲ばかりで退屈な感じだったので、続くこのアルバムもとても期待はできない感じで聴く事となった。
95年リリースの6thアルバム。アズテック・カメラ名義では最後の作品。
1曲目「Rainy Season」。
イントロのピアノのフレーズがなんとなく坂本龍一的で、こちらが教授プロデュースなのでは?と錯覚。落ち着いた味わいも、中盤からブルージーなギターに導かれ、ロディも熱唱。
2曲目「Sun」。
久し振りにアズテック・カメラの明るいポップスを聴いた気がする。太陽の光を浴びて喜びを表現してるかのような。
3曲目「Crazy」。
どこがクレイジーなのかと思うくらい、穏やかで暖かい曲。終盤アコギがキラキラしている中で弾かれるギター・ソロは聴き応えあった。
4曲目「On The Avenue」。
メロディがどことなく中国風。
5曲目「Imperfectly」。
これもスローな曲かと思いきや、段々と力強く派手なサウンドになっていって面白い。
6曲目「Debutante」。
サビのキラキラ感はネオアコの名残のようなものを感じるけど、このようにスローな曲だとウキウキしてこないのが残念。
7曲目「Beautiful Girl」。
これは正統派のポップスになってる気がする。サビもキャッチーだしね。ラストのギター・ソロも心地良く響く。でももっと突き抜けて明るく華々しいサウンドにしてみても良かったのでは。どことなく陰があるんだよなあ。
8曲目「Phenomenal World」。
これはなかなか派手に頑張った感じ。こういう明るくポップな曲がたくさんあれば、まだまだアズテック・カメラもいけると思わせられたのでは。
9曲目「Method Of Love」。
これもいい感じ。ドラムにアコギにピアノ、それからスライド・ギターにブルージーなギターのフレーズ。なかなかに練られているサウンド。明るい中にも重厚感もあって。
10曲目「Sunset」。
サンセットという割には寂しい感じはなくて、むしろ爽やか。1stの頃のような青春が垣間見える。
うん、思ったほど悪くなかったよ。前作のように退屈とは思わなかった。スローな環境音楽ばかりではなくて、ちゃんとポップスになっていたから充分聴けた。
もちろん、もはやネオアコとは呼べないけれど、『Love』辺りが好きな人ならば、これを聴いても満足できるかもしれない。
聴く前は不安で一杯だったけれど、結構いいアルバムなんじゃないかと思えた。1stのようなものを求めさえしなければいいんだよな、結局。
だけど、思わず動きを止めてしまうような、心を奪われるような曲というのはなくて、BGMになっちゃうんだよなあ。聴いてて邪魔な感じはないけど、BGM以上の感動はないというか。
でも、これにてアズテック・カメラの名前を捨てるロディ。もはやこのサウンドはアズテック・カメラを名乗るに値しないと判断したのか。今さら遅いという気もするけど...その真意は如何に。