72年リリースの5thアルバム。
邦題は『危機』。
メンバーは、
ジョン・アンダーソン(ヴォーカル)
クリス・スクワイア(ベース)
ビル・ブラッフォード(ドラム)
スティーヴ・ハウ(ギター)
リック・ウェイクマン(キーボード)
本編3曲+ボーナス・トラック4曲。
前作と同じメンバーで作られたトータル・アルバム。これを最高傑作とする人も多い。
僕も好きだけど、本編全3曲という構成はつまり、1曲が長いというわけで、幾分疲れるかも。だけどまあ、全部で40分満たないから、そんなでもないかな。
そこに今回はボートラが4曲あるので、それがどうでるか。久々にこの『危機』を聴く事になった。
1曲目「Close To The Edge」。
なんと言っても19分もある大作だからねえ。4つの章からなる組曲らしい。曲はめまぐるしく展開し、様々な表情を見せる。緊迫したパート、不穏なパート、リラックスしたパート...。3分50秒過ぎくらいからリズムと雰囲気がガラッと変わる瞬間が好き。その後の主メロもポップでいい。それから海の中をゆっくり歩いてるかのような音に静かなハーモニーのパートもいい。それからまた激しくなって初めに戻る構成も素晴らしい。緊張と緩和。各メンバーが活躍しての一体感ある演奏。長い曲だけど、不思議に聴き飽きない。すごい。
2曲目「And You And I」。
1曲目ほど長くはないが、これも4つの章からなる組曲。イントロのスティーヴ・ハウのアコギがハープみたいな響きで美しい。途中、カントリーのようなほのぼのとしたパートも印象的。
3曲目「Siberian Khatru」。
まず「シベリアン・カートゥル」というタイトルがカッコいいよなあと思ってた所への初っ端、イントロのスティーヴ・ハウのギターが恐ろしくカッコいい。稲妻みたいに痺れる。「Roundabout」に負けず劣らずのキラー・チューンで、このアルバムの中ではこれが一番好き。スリル満点のリズムに回転するギター、うねるベース、緊迫感煽るキーボード。どれもが素晴らしいと聴き惚れてる間にあっという間に終わってしまい、9分もあったと思えない。
4曲目「America」。
ここからボートラ。で、これはサイモン&ガーファンクルのカヴァー曲で、『Fragile』のボートラにも入ってたよなあと思うんだけれども、これはシングル・ヴァージョンという事で幾分聴きやすくなってるかも。
5曲目「Total Mass Retain」。
「Close To The Edge」の一部を抜粋したシングル・ヴァージョン。
6曲目「And You And I」。
別ヴァージョン。との事だけど、どこがどう違うのか、マニアでない僕にはまだ区別がつかず。聴きこまねばダメだろう。
7曲目「Siberia」。
これはもちろん「Siberian Khatru」の別ヴァージョン。何故タイトルを微妙に変えたのか謎だけど、こちらの方がラフな仕上がりで、幾分未熟な感じがする。
いや、僕は自分でも『fragile』の方が好きというのはわかっていたけど、今回これを聴いてみて、僕はこのアルバムはあんまり聴きこんでなかったなあという事を実感した。
あんまり憶えてなくて、新鮮な感じで聴けたから。
で、改めて聴いてみたら、これもまた傑作だというのが充分すぎる程わかって。
長い曲ばかり、というマイナスなイメージが吹っ飛んだ。長くても全く飽きないのがビックリ。
断然『Fragile』派だった僕でも、こちらを最高傑作とする人の気持ちがわかった。
大作で傑作。たしかに素晴らしかった。何度も聴いている。このまま聴き続けると、『Fragile』よりも好きになるかもしれない...。
でも、ボートラはいらなかったかな。別ヴァージョンとは言え、同じ曲を2回聴くのはちょっと辛いよね。
1曲は長いけど、アルバムとしては40分で終わる、という本来の姿がいいんじゃないかな。
↑ 「Siberian Khatru」。
まず「シベリアン・カートゥル」というタイトルがカッコいいよなあと思ってた所への初っ端、イントロのスティーヴ・ハウのギターが恐ろしくカッコいい。稲妻みたいに痺れる。「Roundabout」に負けず劣らずのキラー・チューンで、このアルバムの中ではこれが一番好き。スリル満点のリズムに回転するギター、うねるベース、緊迫感煽るキーボード。どれもが素晴らしいと聴き惚れてる間にあっという間に終わってしまい、9分もあったと思えない。