先月の終わりくらいからジョージ・ハリスンばかり聴いていて。
そしたら、ちょうど命日だったという事に気付いた。
命日だから聴いたわけではなくて、何日か前からふとジョージが聴きたくなり、繰り返しiPodで聴いてたら、後になってネットで命日だったという事に気付いたのだ。
この偶然。ジョージのお導きかもしれないと思っている。
それにしても、改めて『All Things Must Pass』は名盤だなあ、と。
僕にとってのジョージの最高傑作は『Cloud Nine』で、『All Things~』の方はあまりにも多くの人が最高傑作と崇めるものだから、『Cloud~』贔屓の僕としては、どこか冷めた目で見てた所があったんだけど、まっさらな気持ちで『All Things~』を聴いたら、素晴らしすぎてリピートしまくり。捨て曲がなくて、聴く度にどの曲もどんどん好きになっていく。
70年リリースの実質的な1stアルバム。
オリジナルはアナログ3枚組。プロデュースはフィル・スペクターだとか、バックで演奏しているのは後のデレク&ドミノスだとかという事が肝。
僕が聴いているのは01年リリースのニュー・センチュリー・エディション。
旧盤はアナログABC面がDisc1、D面+ジャム面がDisc2という、特にDisc2の方は聴きたくなくなる程のバランスの悪さだったが、このニュー・センチュリー・エディションからはAB面+ボートラがDisc1、CD面+ジャム面がDisc2となって、非常に聴きやすい構成に生まれ変わっている。
Disc1
1曲目「I’d Have You Anytime」。
昔は、こんな3枚組大作のオープニングなのに、地味すぎるなあと思っていたのだが、このさりげなさが寂しく響いてきて染みるようになってきた。かなりいい感じじゃん!
2曲目「My Sweet Lord」。
寂しい前曲から一転、ポップで明るくなるこのギャップ。嫌いな人がいるのだろうか。リズム隊が入ってからグッと力強くなって、スライド・ギターのフレーズが気持ちいい高音を奏でる。
3曲目「Wah-Wah」。
力強さはさらに増し、ワウワウのギターがまさしくワーワーと騒がしい曲。ハイテンション。
4曲目「Isn’t It A Pity」。
壮大なバラードで、ジョージやクラプトンに次々と名曲を作らせるパティの偉大さを思う。どんだけいい女なんだ!徐々に盛り上がるウォール・オブ・サウンド。
5曲目「What Is Life」。
「My Sweet Lord」に負けず劣らずポップでキャッチー。元気が出て楽しくなる清々しさがある。ここでもフィル・スペクターがいい仕事してる。
6曲目「If Not For You」。
ボブ・ディランのカヴァーは軽快で、うっかりすると聴き流しちゃう。
7曲目「Behind That Locked Door」。
トロピカルな、どこかハワイアンな南国ムードのリゾート・ソングの印象。
8曲目「Let It Down」。
重たくパワー溢れるカッコいいイントロから、一転してメジャー・セブンス・コードのやるせなさ漂うメロウなムード。レオン・ラッセルが弾いてると言われているピアノも跳ねていて聴きもらせない。サビは再び力強くなって...大好きな曲。
9曲目「Run Of The Mill」。
大好きすぎる「Let It Down」の後なので、昔はほとんど印象に残らなかったんだけど、聴けば聴くほど味わいが出てきた。サビのメロディが最高。
10曲目「I Live For You」。
ここからボーナス・トラック。これは未発表のボツ曲という事だけど、ボツとは思えない程このアルバムに馴染んでいる。ジョージの優しさに溢れていてスライド・ギターも全開。
11曲目「Beware Of Darkness」。
アコギ弾き語りのデモ・ヴァージョン。
12曲目「Let It Down」。
これもアコギ弾き語りのデモ・ヴァージョンにギターを足してある。渋みがあって、オリジナルとはまた違った味わい。ジョージのヴォーカルもギターの音も、透き通る様な純粋さ。
13曲目「What Is Life」。
イントロにホーンが加わって、より華々しく、さあいよいよ歌が始まるぞと思ったら、ヴォーカルはすぐに消えてしまって肩透かし。結局インスト。これはいらないなあ。
14曲目「My Sweet Lord」。
2000年ニュー・ヴァージョン。スライド・ギターのフレーズを増やし、メロディも崩して歌っている。まあ、気分転換でたまにはいいか。
Disc2
1曲目「Beware Of Darkness」。
僕はレオン・ラッセル・ヴァージョンの方を先に聴いてたんだけど、さすがにあそこまでの粘っこさはなく、ジョージの歌はしっとりとしている。
2曲目「Apple Scruffs」。
ハーモニカの響きが印象的。サビでのジョージのファルセットも耳に残る。とにかくアコギとハーモニカと思ってたら、ビートルズ風コーラスやらスライド・ギター・ソロも出てきて聴き所満載。
3曲目「Ballad Of Sir Frankie Crisp」。
ピアノがいいアクセントになっていて、地味だけど外せない魅力を持っている。これもスルメか。
4曲目「Awaiting On You All」。
昔はまったく印象に残らなかった曲なのだが、ある時バングラデシュ・コンサートでのこの曲の映像を観て心奪われた。イントロのリフ、リズムが華々しく印象的で、自然とノッてしまう。ライヴでビシッと決めたらカッコ曲なんだなと大好きになった。
5曲目「All Things Must Pass」。
これもビートルズ時代にできていたという曲で、アルバムのタイトル・ソングでもあるから自信のある曲なんだろうけど、バラードという事もあってか、そこまで深入りできない僕。
6曲目「I Dig Love」。
「Come Together」みたいなドラムが怪しげなムードを醸し出している。
7曲目「Art Of Dying」。
これは文句なくカッコいいロックンロール。「Layla」みたいだと思った。演奏してるデレク&ドミノスにとって、後の「Layla」の下敷きになったんじゃないかな。サイケ風でもあるいかにもクラプトンなギター・ソロとか、ホーンが煽る所とか、もう熱くなってくる。
8曲目「Isn’t It A Pity」。
再登場するVersion2。だけど僕はいまだにVer.1との違いがよくわからない。聴き分けができてない。それほど印象的には違うものではないので、わざわざ再登場させなくても良かったのにと思っちゃう。それほど自信のある曲だったのかな。
9曲目「Hear Me Lord」。
ダンダンダンッと迫りくるイントロのドラムからして、来た来た来たぁ~という感じ。やるせなさ、はかなさ全開のコード進行とメロディにうっとりとするし、熱くもなる。必殺入魂のバラードは、超大作のアルバム本編を締めくくるに相応しい名曲だと思う。
この後はジャム・セッション。
インストが苦手の僕は、こういうジャム・セッションも苦手で、良さがわからない。しかも長いし。一瞬、カッコいいかもと思う場面もなくはないけど、やっぱり僕にとっては退屈なので蛇足で、いらないなあと思っちゃう。
こんなジャム・セッション盤は省いて、スッキリ2枚組にして、もっと安く売ってたら、どれだけ売れてただろうと思っちゃう。高価な3枚組は敷居が高く、躊躇して買えなかった人も多かっただろうしね。
だけどまあ、当時の3枚組という重厚感も魅力の一つだったんだろうし、それでも大ヒットしたんだから、なんとも言えないところだけど。
それにしても、隙がない。
思い出や思い入れは『Cloud Nine』の方にあるんだけど、冷静に考えれば、やっぱりこっちの方がジョージの最高傑作だとの結論には異を唱える事はできないなあ。
素晴らしすぎた。
↑ 「Hear Me Lord」。
ダンダンダンッと迫りくるイントロのドラムからして、来た来た来たぁ~という感じ。やるせなさ、はかなさ全開のコード進行とメロディにうっとりとするし、熱くもなる。必殺入魂のバラードは、超大作のアルバム本編を締めくくるに相応しい名曲だと思う。