ポール、ジョンと来たので、続いては当然ジョージ。
ジョージのベスト盤と言えば、まずは76年の『The Best Of George Harrison』。
しかし、これはアップル期のものだけだし、なんと言っても半分はビートルズ時代の楽曲。ソロでいい曲はたくさんあるのに、ビートルズの曲を入れないと売れない、と、レコード会社に判断されたようなのが腹が立つ。こんなのでは、ジョージ・ソロのベスト盤とは言えない。
次は89年の『Best Of Dark Horse 1976-1989』。
これは76年以降のダーク・ホース時代の曲を集めたもので、リアルタイムでジョージのソロを聴いたのは『Cloud Nine』からだった僕が、直後にジョージのソロに触れる事の出来た、思い入れのあるベスト盤。当時はまだオリジナル・アルバムもCD化されてなかったのかなあ。だから、ほとんどジョージのソロを聴いた事のなかった僕にとっては、好都合な入門盤だった。しかも、どれもいい曲ばかりだったし、新曲も3曲入ってた。とても良く出来たベスト盤だと思ったのだが、セールス的には振るわず、すぐに廃盤となってしまって、それ以降、再発されてないのがとても残念。ジャケットもカッコいいのに。
で、時は過ぎ、09年に、満を持して、アップル期とダーク・ホース期を合わせたオール・タイム・ベストと称してリリースされた『Let It Roll Songs By George Harrison』。
リリースの報に、これは決定盤か?と思わせたが、蓋を開けてみたら、なんと1枚モノ。
ジョージの長い歴史を1枚にまとめるには、尺があまりに足りなさ過ぎる。
しかも、『All Things Must Pass』『Cloud Nine』『Brainwashed』からの曲に偏っていて、1曲も選ばれてないアルバムが多数。
そのくせ、ソロ時代のライヴ・ヴァージョンとは言え、ビートルズ時代の曲が3曲も。またもビートルズ!いつまでたってもビートルズに頼らないと、ジョージのアルバムは売れないと思われてる。なんという事か。
そしてなんと言っても、僕が、ジョージの最高傑作のひとつと思っている「Love Comes To Everyone」が入ってない事!これは画竜点睛、仏作って魂入れず。決定的なミス。
それに、あの曲もこの曲も入ってない...と思うものばかり。せっかくのジョージのベスト盤なのに、あんな大事な曲を入れなくていいのか?と首をひねらざるを得ないモノ。
これを企画、選曲したのはオリヴィア夫人だというではないか。オリヴィア夫人は、ジョージの人柄はよくわかってると思うけど、作品についてはよくわかってないのではないか?と思わずにはいられない。
こんなの、ジョージのオール・タイム・ベストとはとても呼べないし、認める訳にはいかない。
でも、ジョージのベスト盤て、結局この3枚しか出てないんだよ?
おかしくない?
ジョージに失礼じゃない?
ジョージの入門編とも言うべきベスト盤が満足に出ていない、この状況はマズイ。
もっと、ジョージにはいい曲がたくさんある事を、世の中に広めるべきである。
なんとかしなければならない!
と、言う訳で、もしも、僕がジョージのベスト盤を作って、正規のCDとして企画・リリースできる立場にあったら。
きっと、こんなものを作るだろう、と。
ジョージのオリジナル・アルバムの数を考えたら、ここは2枚組のベスト盤とするのが妥当だろう。
僕が思う理想のベスト盤とは言え、僕が好きな曲ばかりを集めたわけではない。
なるべく客観的に、重要な曲を網羅するように心がけたつもりだ。とは言え、若干、僕なりの好みが反映されている部分があるのは否定しない。
1.シングルはアーティストの顔なので、なるべく優先。
2.曲順はリリース順が王道。
3.ベスト盤はお腹一杯に詰め込むのが王道。しかし、各Discの収録時間はちゃんと1枚のCDに収まる80分弱。
そのアーティストが企画・主導して選曲・曲順を決めるなら別だけど、そうでない場合は、ベスト盤の曲順は、リリース順にすべきだと思うんだよね。
特にジョージは亡くなってるわけだから、なんでこんな曲順なの?誰が決めたの?と疑問に思われないように、素直にリリース順の曲順にしたベスト盤が王道だと思うんだよね。
これらの事を念頭に、選曲作業。
実際に、正規のCDとして店頭で売られていてもおかしくないものを目指した。
ジョージ・ハリスンのソロの歴史が振り返れる、今までありそうでなかった、王道の2枚組オール・タイム・ベストである。
[Disc 1]
01.My Sweet Lord
02.Isn’t It A Pity
03.What Is Life
04.Let It Down
05.Awaiting On You All
06.All Things Must Pass
07.Art Of Dying
08.Bangla Desh
09.Give Me Love (Give Me Peace On Earth)
10.The Light That Has Lighted The World
11.Don’t Let Me Wait Too Long
12.Try Some Buy Some
13.Simply Shady
14.Dark Horse
15.Far East Man
16.You
17.This Guitar (Can’t Keep From Crying)
18.World Of Stone
[Disc 2]
01.This Song
02.True Love
03.Learning How To Love You
04.Blow Away
05.Love Comes To Everyone
06.If You Believe
07.All Those Years Ago
08.Teardrops
09.Hong Kong Blues
10.Wake Up My Love
11.Gone Troppo
12.Dream Away
13.Got My Mind Set On You
14.Cloud 9
15.This Is Love
16.When We Was Fab
17.Cheer Down
18.Any Road
19.Pisces Fish
20.Stuck Inside A Cloud
さて、どうだろうか。
そのアーティストの足跡を、ヒット曲から隠れた名曲まで、順番通りに振り返れるベスト盤って、絶対に必要だと思う。
ジョージの場合、特に。
基本は、1枚のアルバムから3曲を選曲。
2枚組のアルバムならその倍。
重要なアルバムなら、さらにプラス1曲。
こんな約束事を課しながら、選曲してみたら、これはホントに偶然上手くいったのだが、Disc 1にアップル期、Disc 2にダーク・ホース期と、見事に分かれる形となった。
これは我ながらよく出来たと思えるポイントで、非常に満足いくものが出来たと思っている。
アルバム曲は、他人から見たら、「どうしてこれを選んだの?」と思うものもあるだろうし、「どうしてあれが入ってないの?」と思うものもあるだろう。
しかし、そんな事はよくある事なので、多少は目を瞑ってもらって、全体的なバランスとか、抑えるべき所は抑えるというポイントを考えると、これはホントに良く出来たベスト盤ではないかと、きっと多くの人に思ってもらえるだろうと確信している。
それだけ自信がある。
実際に聴いてみても、やっぱり素晴らしい。
既に何度もリピートしている。
そしてこれからも何度も聴く事だろう。
やっぱり、ジョージは良い!
タイトルは、そうだな、『The Best Of Harrisongs』とかで良くね?
もっとシンプルに『Harrisongs』でもいいし。
ああ、実際に、こんなCDが店頭で売られていたら。
売れると思うんだけどなあ。
ジョージのソロをよく知らない人に、まず手に取ってもらいたい。
ジョージの良さを多くの人に知ってほしい。
既によく知っている人にも、改めて歴史を振り返ってもらって、ジョージの良さを再確認してもらいたい。
どうか、近い将来、こんな選曲のジョージのベスト盤がリリースされますように。
僕みたいな素人の案は飲めない、って?
じゃあ、『レコスケくん』の本秀康さんに選曲してもらって、ジャケットも書いてもらって。
そういうベスト盤でもいいよ(笑)。