好きなアーティストのアルバムをランク付けするのって、非常に難しい。楽しいけど。
その日の気分によっても違ってくると思うし、はっきり優劣があるものもあるけれど、そもそも好きなアーティストの作品なんだから、どれも好きで、順位なんて紙一重のものが多いだろう。
それでもやっぱり、ランク付けしてみたくなる。楽しいから。
そのために聴き直したりすると、新たな発見もあったりするし。ほら楽しい(笑)。
好きなアーティストと言っても、諸事情で、すべてのアルバムを聴いてないアーティストもいますが、とりあえず、現時点で僕が聴いた事のあるアルバムにおいてのランキングです。
オリジナル・アルバムは当然ですが、スルーする訳にはいかないライヴ盤やレア曲集なんかも入れる場合があります。でも、ベスト盤は入れません。ベスト盤入れちゃったら、どのアーティストも1位はベスト盤、なんて事になりかねませんから。それじゃ面白くないもんね。
好きなアルバムの定義ってなんだろう、と思います。
大好きな曲が入ってる、全体の流れや空気感が好き、ジャケットが好き、リアルの生活における思い出とリンクしている...など、いろいろあると思うんですが、僕が重要視するのは「ワクワク度」ですね。
そのアルバムを聴いている時はもちろんなのですが、「それを聴いてない時でも、そのアルバムの事を考えると、ワクワクしてしまう」ものが自分にとって上位なんだと思うんです。
考えただけでワクワクするから、またすぐにそれを聴きたくなる。それが魅力があるって証拠だし、ワクワクなんて直感みたいなものなので、そこには深い理由なんてないのかもしれません。
故に、おススメのアルバムというよりも、個人的に思い入れの深い順になっていると思います。
コメントの次には、各アルバムの中での1番好きな曲を、No.1 Songとして表記しました。
読んでくださる方に、そのような思い入れの違いを楽しんでもらえたら、と思ってます。
そんなわけで、大好きなアーティストのアルバムをランク付けするシリーズ企画。
今回は、ポール・マッカートニーです。
第1位 『Ram』
初めて聴いた時から今に至るまで、変わらぬ感動を味わえる、非の打ちどころのない、完璧な名盤。
素朴な感じもありつつ、時には派手に、ロックしバラードし、ポップな名曲をズラッと並べた作品です。これぞポール・マッカートニー。
リリース当時、これを酷評した評論家がいっぱいいたとの事だけど、どこをどう聴けば酷評するに至るのかまったく理解できない。その人たちは、今でもこのアルバムを評価してないのだろうか。評論家のくせに、なんて低レベルな耳を持っているのだ、懺悔しなさい、切腹ものだ、と言ってやりたいくらいです。
No.1 Song 「The Back Seat Of My Car」
第2位 『Band On The Run』
前2作で著しく下がってた名曲製造率が、ここでググッと急上昇。ウイングスの危機を脱するどころか、世紀の名盤を作り上げる事に成功したポールの底力に改めて脱帽。
先に買った『Wings Over America』に、コレの収録曲が多く入ってたので、実はコレを買うのを長い間躊躇してたんだよね。全9曲と少なめだし。ポールのアルバムの中でも、買ったのは後の方。でもいざ買ってみたら、知らなかった名曲が入ってて、大満足した。もっと早く買えば良かった。
でも、欲を言えば、B面前半がやや弱いかな。
No.1 Song 「Nineteen Hundred And Eighty Five」
第3位 『Wings At The Speed Of Sound』
ポールのヴォーカル曲が少ない、って事で、ポール一神教のファンからは評価の低いアルバムだけど、僕は、ここにあるポール以外のメンバーの曲も大好きなのだ。ポールの曲は言わずもがな。
なので、僕は『Venus And Mars』よりも、こちらの方に肩入れしたくなるのです。
バンドとしてのアルバム作りにこだわったポールの心意気も買いたい。
No.1 Song 「Beware My Love」
第4位 『Venus And Mars』
前作で息を吹き返したポールが、ようやく固まってきたバンド・メンバーと共に絶頂期へと向かう作品。
曲はよりポップに、より多彩になって、聴きやすいものになっている。ウイングス初心者には初めにコレをおススメしたい感じです。
金星と火星に見立てたピンボールのジャケットも素晴らしいアイデアで好き。
No.1 Song 「Letting Go」
第5位 『Back To The Egg』
初めは全然いいと思えなかったんだけど、最近になってグングン好きになった作品。
パンクやニューウェーヴを意識しているようにも思える、ロック色の強い作品で、とにかく攻めの姿勢が見える。
ウイングスは決して迷走して終わったのではない。コレはもっと評価されてもいいと思う。
No.1 Song 「Getting Closer」
第6位 『Wings Over America』
ポールにとって初のライヴ盤は、レコードにして3枚組の超大作。
まさしくここがウイングスの頂点で、よくぞその瞬間をパッケージしてくれたと、ありがたく思う。
解禁されたビートルズ・ナンバーを含むセットリストは最強で、ロック・コンサートのお手本のようだ。
No.1 Song 「Soily」
第7位 『Pipes Of Peace』
なにかと前作と比べられて、こっちはイマイチみたいな評価をされてるけれど、楽曲的にもこちらも負けてないと思う。たしかに、もう少し練り上げればもっと凄いものになってたような気もするけれど、それらも含めて僕の思い入れは前作より上。
マイケル・ジャクソンとのコラボも素晴らしかったし。優しい気分になるアルバムなんだ。
悪いのはジャケットくらいか。
No.1 Song 「The Man」
第8位 『Tug Of War』
ウイングス解散後、どうなってしまうのか、ポールのモチベーションは下がってたと推測されるが、ジョンの死を受けて、やる気を出した。そしてジョージ・マーティンと組めば、これくらいのものは作れるんだぞという、ポールの底力を見た。
たしかに隙がなく、捨て曲なしで、豪華なイメージもある。どこへ出しても恥ずかしくない名盤だ。
No.1 Song 「The Pound Is Sinking」
第9位 『Back In The U.S.』
数あるポールのソロ・ライヴ盤の中ではコレが1番好き。セットリストもすごく好み。
でもこのツアーでの来日公演、初めは行く気がなかったんだよね。でも評判聞いて、運良く格安チケット獲れて、観る事が出来た。結果、1番思い出に残ってるライヴに。あのままもし行ってなかったらと思うと恐ろしい。
とにかく良い思い出が蘇り、幸せな気持ちになれる1枚。
No.1 Song 「Hello, Goodbye」
第10位 『Driving Rain』
このアルバム、評判悪いよね。特に、『Flaming Pie』を絶賛してるファンからは酷評されてる感じ。今となっては悪妻で有名な元嫁のイメージもあるから尚更。ポールの中でも黒歴史となってるかも。でも僕は大好きなんだ。
すごくロック色が強くて、メロディもキャッチーでとてもいいと思うのだ。若いバンド・メンバーを従えて、短期間で作られたようだけど、その時のメンバーが今でもずっとポールのライヴを支えてるのだから意義深い。
No.1 Song 「Lonely Road」
第11位 『NEW』
これぞポール、ポップなポールが帰ってきた!と、そのあまりにビートリーなサウンドに、一聴して心惹かれたよね。
そして直後にそれをひっさげての来日公演というドンピシャのタイミングに、テンションは高まる一方だった。素晴らしき思い出が蘇るという意味でも、当然思い入れは強くなっている。
ただ、得意のバラードが1曲もなかったのが意外で、ちょっと残念。
No.1 Song 「Everybody Out There」
第12位 『Flowers In The Dirt』
ポールを好きになってから、初めてリアルタイムで聴いたのがこのアルバムから。当時はエルヴィス・コステロなんてまったく知らなかった(笑)。
それまで過去のアルバムばかりを聴いてきたから、初めて聴く最新のポールの音楽に少々面食らったなあ。
ともかくこれでポールは息を吹き返し、ツアーにも乗り出して、初のソロ来日公演へと繋がっていくのだから、重要性は高い作品。
No.1 Song 「Figure Of Eight」
第13位 『Memory Almost Full』
スターバックスのレーベルに移籍、という話を聞いて、何?インディーズみたいなものなの?と感じて、リリース当時スルーしてしまったアルバム。
しかし、『NEW』を聴いた後でポール熱が高まり、やはりコレも聴いておかないとな、と慌てて購入。そしたら、とんでもなくロックでポップなアルバムなのでビックリしてしまった。アコースティックな感じの前作が好みじゃなかったから、余計に、この路線になってくれた事に安堵。
No.1 Song 「Only Mama Knows」
第14位 『McCartney』
ビートルズの夢の続きを求めて聴くと、やっぱり肩透かし、という事になるんだろうね。
インストが多い、というのも、やっぱり僕にとっても初めはマイナス・ポイントだった。
でも、歌モノは素晴らしいものがあって、それを目当てに聴き返しているうちに、インストのやつも悪くないな、という気になってくる。どことなく怪しい感じもある、ポールの試運転。
No.1 Song 「Man We Was Lonely」
第15位 『Press To Play』
売り上げがガタ落ちした、ポールにとって1番どん底の低迷期を象徴するアルバムがコレだ。
でも僕は、そういう状況も知ったうえで後追いで聴いたから、ちょっと同情の念を持って贔屓目で見てしまうのかもしれないけど、意外と悪くないと思っている。捨て曲なしとまでは言わないけれど、ちゃんといい曲もある。
だからコレを失敗作だとは決めつけたくないな。迷走してるのはわかるけどさ。
No.1 Song 「Press」
第16位 『Tripping The Live Fantastic』
これはなんと言っても、初のソロ来日公演の思い出が蘇る、というだけでも愛おしくなるよね。
吹っ切れたようにビートルズ・ナンバーを大量解禁して、そこに新作からの曲も多く織り交ぜる構成。ラストのアビイ・ロード・メドレーなんて、これをライヴで聴ける日が来るなんて、と感動モノだったよね。
ただ、このライヴ盤、途中でサウンド・チェックだかリハーサルだか、変なインストとかが紛れ込んできて、ライヴの流れを中断するのがいただけない。
No.1 Song 「Golden Slumbers / Carry That Weight / The End」
第17位 『Good Evening New York City』
実はコレ、リリースされた事ずっと知らなかった。何年もたってから、レンタル店で見つけて「こんなの出てたの?」とビックリした。
ちゃんと買ったのは、先日のポールのライヴを観た後。熱が冷めなくて、ライヴ映像が観たくなっちゃってね。DVD付きってのがポイント高い。これからもっと観て聴いて、どんどん好きになっていきそうな気がする。
No.1 Song 「Mrs. Vanderbilt」
第18位 『Off The Ground』
なんか、コレって、『Flowers』から間髪入れずにリリースされたようなイメージがあるんだけど、実際は4年近くたってたってのが意外。間に来日公演などもあったから、満足しちゃってたのかな。
まあとにかく、『Flowers』の勢いのまま余力で作られたって気がするアルバム。当然悪くない。
で、さらにこの直後にも来日公演が。こうやって、これからは新しいアルバムが出来るたびに来日公演してくれるんだろうな、と夢が広がっていた。
No.1 Song 「C’mon People」
第19位 『Give My Regards To Broad Street』
80年代のポール低迷期のきっかけとなったのは、なんと言っても映画が大コケした事。これに尽きる。
ストーリーはあれだし、まさかのオチだし、たしかに、「Eleanor’s Dream」あたりは眠くなった。だけど、演奏シーンはどれも良かったし、そこだけを切り取れば、素晴らしいPV集だったように思う。
なので、サウンドトラックのコレは悪くないんだ。新曲も良かったしね。
No.1 Song 「No More Lonely Nights」
第20位 『Red Rose Speedway』
とにかく「My Love」がズバ抜けている。で、他の曲が見劣りしてしまう。
前作よりはポップになった気はするし、B面ラストにまたメドレーを持ってくるなど、やる気にはなっているのだけれど、どこか中途半端で空回り。それを愛しく思えたら、もっとこのアルバムが好きになれると思うのだけれど。
No.1 Song 「My Love」
第21位 『Wild Life』
このタイトルが表している通り、ワイルドでラフな世界。作り込まずに、出来たものをサッと出したような。それはそれで味になっているけれど、コレ!という核になる曲がないからね。ヒット曲が1曲でも入ってたら全然印象が違ってたかも。
美メロの断片はあれども、まだまだこれからという感じ。
No.1 Song 「Tomorrow」
第22位 『Paul Is Live』
来日公演とほぼ同時に出たので、ライヴから帰って来てすぐに聴いたような記憶がある。
ポールのライヴ盤にしては珍しく1枚モノ。
収録曲を眺めてみると、結構好きな曲もあっていい感じに思えるんだけど、いざ聴いてみると、そこまでハマれなかった感じ。終盤のサウンドチェックの嵐が印象を悪くしてる感じがする。なんか尻すぼみで。
No.1 Song 「Drive My Car」
第23位 『London Town』
アメリカを制覇して絶頂を迎えた後、ポールが選んだのは英国回帰。
ジャケットからイメージされるように、暗くて、寒そうで、雨が降ってそうなロンドン。それがなんとなく地味な印象を植え付けられてしまう。
大成功を収めたというのに相次ぐメンバーの脱退。ポールもやっぱり疲れていたのではなかろうか。
No.1 Song 「Cafe On The Left Bank」
第24位 『McCartney II』
久し振りに1人になって好きな事をやった。冒険というか実験というか。ふざけてるようにも感じるアルバム。
インストもあって、1stを思わせる所もある。テクノを取り入れて、いい雰囲気のものもあって、その野心は買うけれど...ついていけません(笑)。
No.1 Song 「Coming Up」
第25位 『Flaming Pie』
ジェフ・リンがプロデュースに関わってると聞いて、ものすごく期待したんだけれど、ジェフらしさをまったく感じなくって...ジョージと一緒の時はあんなにいい仕事をしたのに、ポールに対しては言いたい事言えなかったのかなあ、なんて思ってしまった。
期待を裏切られたという思いが強いアルバム。ファンの間では人気があるけれど、僕の評価は低い。
No.1 Song 「Beautiful Night」
第26位 『Chaos And Creation In The Backyard』
このアルバムは忌まわしきCCCDでのリリースという事になって、購入するのをやめてしまった。つまり、ここからリアルタイムのポールから離れる事になってしまったという意味でも罪深いアルバム。
ファンの間でも評価が高かったから、割と最近になって通常CDになったものを聴いたんだけど、あまりいいとは思えなかった。全体的にアコースティック。そういう音が好きな人なら。
No.1 Song 「Fine Line」
第27位 『Kisses On The Bottom』
ジャズ・スタンダードのカヴァー集。
カヴァーにあまり興味がない僕は、まったく買う気がせず。運良く図書館で借りられた。
「My Valentine」だけは大好きで、やっぱりカヴァーよりオリジナルの方がずっといいじゃん、と。
No.1 Song 「My Valentine」
第28位 『Run Devil Run』
オールド・ロックンロールのカヴァー集。
カヴァーにあまり興味がない僕は、まったく買う気がせず、スルーしてたのだけど、数年後、近所のCDショップの閉店半額セールで売ってたのでとりあえず買った。でも2回くらいしか聴いてないや。
No.1 Song 「What It Is」
さて。
これだけたくさんのアルバムがあると、好きなアルバム、嫌いなアルバムとあるのが普通ですよね?
それともみなさんは、好きなアーティストのアルバムなら全部好きですか?
僕は、全部好き、とまでは言えません。
好きなアーティストだからこそ、文句を言いたくなる場合もあります。
思い入れの違いを鮮明にするために、下位のアルバムは悪口というか、否定的なコメントになってしまいましたが、そこは大好きなポール。そこいらのアーティストよりもずっといいと思えるアルバムだったりもしますのでご安心を。
みなさんの好きなポールと僕の好きなポールには、どれだけ違いがあったでしょうか。
同じアーティストを好きでも、同じアルバムが好きとは限らないのが面白い所だったりします。
いろんなファンの方の意見があると思います。
僕は、そういうファンの意見の違いを面白がったりしたいので、まずは自分の好みを披露してみました。
ただ、これも今の時点での事です。
同じアルバムでも、聴くタイミングによって印象が変わったり、何度か聴き続けたりする事によって良さがわかっていったりするものもあります。
これからもポールのアルバムは聴き続けていくと思いますので、またいろいろと変化してくるかもしれません。
それが、いい変化であれば、言う事はないですね。
もっともっとポールを好きになっていきたいです。