[CAFÉ BLEU STYLE ARCHIVES] 2001年頃に書いた記事です
ポールのビートルズ脱退宣言のわずか1週間後に出された1stソロ・アルバム。
ポールが自宅にてほぼ一人で仕上げてしまったというこの作品は、やはりかなり「ラフ」な印象を受ける。完成途上とも言えなくない状態の楽曲たちが並び、ちょちょいと遊んでみました、ってな感じ。
でも、みんながポールに期待してるのはその程度ではなかった。「あなたはあのポールでしょう?あなたが力入れればものすごいものを作れるのを知ってるんだよ?どうしてこの程度で終わらせてしまうの?」という事で、発表当時は相当叩かれたらしい。
ただ、普通のビートルズ好き、ポール好きにとってみれば、このアルバムを聴いて、「悪くないな」とは思うはず。たしかに、あっさり仕上げられてしまった感はあるにせよ、ポールの持つ才能の一端は充分に感じとれるからだ。
リンダに捧げた「ラヴリー・リンダ」で優しく幕を開けるこのアルバムだが、なんと言ってもプッシュしたいのは「ジャンク」。
この曲の持つ悲しさ、寂しさ、切なさ。こういう曲を聴かされたら、ポールを支持せずにはいられないではないか、とも思う。
それから、「エヴリナイト」。
この曲のサビでの、ポールならではの心地良いハミングは素晴らしいじゃないか。
隠れた名曲として推したいのが「男はとっても寂しいもの」。
明るいAメロ(サビ)から一点、Bメロでマイナーになる所はキュンと来る。男でもいとおしく感じちゃうよ(笑)。
そして、このアルバムで一番人気があるであろう「恋することのもどかしさ」。
ピアノ弾き語りのバラードで、途中からはギターも激しくなり、ポール得意のシャウトも炸裂。
インストが5曲もある事も、マイナスなイメージを出している。ちゃんと歌詞も考えて完成させればもっと良くなったはずなのに...手を抜いたな?みたいにとられちゃうんだろうね。
でも、そのインストだって、決して悪いものではない。
「バレンタイン・デイ」「ママ・ミス・アメリカ」あたりはカッコいいよ、ホント。
結局、ポールの才能をわかってるだけに、常にかなりのレベルを期待されちゃうんだな。
考えてみれば、それって辛い事だよね。ちょっとやそっとじゃ満足してもらえないなんて...。
もちろん僕も、このアルバムを初めに耳にした時はそう思った。「いい素材」はあるのに、どうして完成品になるまで仕上げないで出しちゃったんだろう、もっと作りこめばいいのに...って。
でも、最近は、これはこれでアリだよな、と思うようになった。素直に。こんな音もいいじゃない。これもポールらしいよ、と。
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