ポールのアーカイヴ・シリーズは、今まで1枚も買った事なかった。
だって、リマスターで音が良くなってると言われてるけど、バカな耳の持ち主の僕には、音の違いなんて、どうせわからないだろうから。
今まで、リマスターされたっていうCD買っても、「ちょっと音が大きくなった?」くらいにしか感じないんだもの。
それに、Disc 2に収録された未発表曲やB面曲、デモ音源のリストを見ても、あんまりそそられなかったんだよね。そもそも曲数も少ないし。
あんまり旨味がないなあ、って。
ましてや、スーパー・デラックス・エディションなんて、高すぎてとても買ってられません。
なので、1枚も買った事がなかったわけですが、この『Flowers In The Dirt』の場合は、Disc 2が、コステロとのデモ音源という事で、少し気にはなってたんだよね。これは今までとは違った趣なんじゃないか、って。
そしたら、HMVで、輸入盤5枚で40%OFFなんてセールをやってるのを知って。
40%OFFと言っても、輸入盤だから、元の値段設定がいい加減なので、ホントに40%OFFと言えるほどお買い得なのか怪しい所なのですが、まあ、このアルバムがセールで2000円を切った値段で買えるという事を知りました。
この2CD版は、通常ならどこで買おうとしても3000円くらいはするので、相場より1000円くらい安い。日本盤と比べたら2000円くらい安い!
というわけで、あれこれ欲しいCDを5枚以上見繕って、このセールの恩恵に与ろうと思ったわけなのでした。
で、とうとう買ってみたこのアルバム。
リマスターされたDisc 1を聴いてみると、案の定、僕にはあまり音の良さがわからない(笑)。
いや、ちゃんと旧盤と聴き比べしてみれば、きっと違うんでしょうけど、そこまでするのはめんどくさくて。
とりあえず聴いてみてすぐ、「うわあ、いい音になってる、感動だあ」なんて思う事はまったくなく。
聴き慣れたアルバムを、再び聴きました、って感じで終わっちゃいましたね。
これは、僕のCD再生環境が悪いのか、僕の耳が悪いのか。うーん。
こういうリマスター盤を聴いて、すぐに「いい音になったなあ」と感動できる人が羨ましいです。買い直した甲斐がありますもんね。
わずかに、「Figure Of Eight」のベースの音がちょっと心地良く響いてくるようになったかな、って程度しか感じませんでした。
まあいい、お目当てはDisc 2です。
『Flowers In The Dirt』は、コステロとの共演うんぬんが強調されたアルバムでしたが、実際に聴いてみると、メロディのコステロからの影響はよくわからないし、肝心のコステロの声がちゃんと聴こえてくる曲はとても少なく、結局なんだかあんまり共演盤という気がしないアルバムでした。
なので、むしろ、デモ段階での音源の方が、コステロとの共作をより強く感じる事が出来るのではないか、という期待のもとに聴いてみたわけです。
そしたら、期待通り。
どの曲も、ポールとコステロのデュエットが聴けたのです。
これは、オリジナル・アルバムに収められた曲では味わえなかった感動です。
デモ段階という事で、バックはどれもピアノやアコギだけのシンプルな演奏なのですが、それもまたいい。
特に「So Like Candy」や「My Brave Face」の2人のデュエット、ハモリは鳥肌モンで、聴いててワクワク、嬉しくなりましたね。
そうです。
こういう、ポールとコステロががっつり組んで曲を作って演奏してる、ってのがはっきり伝わってくるのが聴きたかったのです。
さらに、これはデモ音源とは考えないで、これはポールとコステロが、少人数のお客さんを前に、アンプラグドで行ったスタジオ・ライヴの音源、と考えると、非常に興奮度が高まるのです。
『Flowers In The Dirt』の曲が4曲、
『Off The Ground』の曲が1曲、
コステロの『Mighty Like A Rose』の曲が2曲、
未発表曲が2曲。
曲数、収録時間は正直物足りないですが、その分、何度もリピートしやすいと思えばいいでしょう。
シンプルでラフな演奏なのに、2人が競い合って、共に歌ってるのを聴いていると、とても興奮しました。
これを聴いて、ああ、ホントにポールとコステロは一緒に音楽を作ったんだなあ、と、やっと実感できた感じです。
たしかに、この時の2人は、かつてのポールとジョンのようです。お互いを高め合ってます。
それを感じ取れただけでも、買って良かった。
ポール・ファンでもコステロ・ファンでも、どちらのファンでも満足できるDisc 2だと思います。
ただ、こういうのを聴いていると、当時、これらを正式な2人のデュエット・アルバムとして完成させて、リリースしていたら、もっと素晴らしいものが出来たであろうに、と夢想してしまいます。
それが実現しなかったという現実が、甚だ残念ではあります。
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