先日、渋谷のHMV Record Shopに行って、レコードを漁ってたら、店内のBGMで良い感じの曲が流れてきて耳を奪われました。
「あ、これ、ユーミンだけど、聴いた事ない曲だな、なんだろ」と。
お店の人に訊いてみようかと思って、レジの方に目をやったら、カウンターに【NOW PLAYING】と表示されたレコード・プレイヤーとジャケットが目に入りました。
それが、『PEARL PIERCE』でした。
『PEARL PIERCE』かあ。
このアルバムは、レコードを買ったけれど、まだ聴いてませんでした。
そうかそうか、こんな良い感じの曲が入ってるなら、聴いてみたいぞ。
期待値がグンと上がって、早速次の日には、このレコードをターン・テーブルに載せていました。
82年リリースの13thアルバム。
1曲目「ようこそ輝く時間へ」。
この曲こそが、HMVで一聴して良いと思った曲です。
ファンキーな感覚もあり、ゆったりとしたダンス・ナンバー。
ディスコ調だけど、決して派手じゃない。
夜の怪しい雰囲気を持ったイントロで始まるも、ユーミンの歌声が聴こえると、一気に爽やかな感じになる瞬間が好きです。
「♪ 行かないで 夏休み」と歌ってるので、「輝く時間」というのは、夏の終わりの頃の夜という事でしょうか。
2曲目「真珠のピアス」。
これはすでにベスト盤で聴いて知ってました。ベスト盤の名曲群の中で聴くと、とりたてて好きな感じではなかったのですが、このオリジナル・アルバムの中で改めて聴くと、ちょっと違って聴こえて存在感があります。さすがタイトル曲。
彼との別れ話の後で、彼のベッドの下に爆弾(ピアス)を仕掛ける、という、男にとっては怖いストーリーの歌詞なのは有名ですね。
3曲目「ランチタイムが終わる頃」。
メランコリックで切ないピアノのリズムとフレーズがたまりません。
ホーンの使い方とか、バート・バカラックを意識してるようにも思えますね。
とにかく切なくて好きです。
4曲目「フォーカス」。
メガネっ娘の歌。
自分の事を愛してると言ってくれる人に出会って、メガネを外したけれど、心のフォーカスは彼に合わせてる、という曲なんだけど。
彼は「メガネっ娘だから好きになった」んじゃないのかなあ、だったら、メガネ外す必要ないのでは?と思ってしまいました。
まあ、好きな人に出会えて、価値観が変わるという曲なんだろうけど。
穏やかな雰囲気に刻まれるビートが良い雰囲気を作っています。
5曲目「夕涼み」。
一部では評価の高い曲だと聞いたのですけど、僕的にはあまり印象に残らないかなあ。
バラードと言うにはビートが強すぎる。と言ってもダンス・ナンバーでもないし、どこか中途半端な感じがしちゃって。
6曲目「私のロンサム・タウン」。
これも前曲と同じ様なイメージだな。レコードだとここから盤をひっくり返してのB面になるので、気分が変わるんだけど、CDで連続して聴くとどうかな。
サビのブワッと世界が広がる感じがいかにもユーミン。
7曲目「DANG DANG」。
これもベスト盤で知ってた。
「♪ だんだんと」「♪ DANG DANGと」と連発するサビのフレーズがとにかく耳に残ります。あまりに残りすぎて、嫌いになるくらいでした(笑)。
歌詞カードを見ると、「D・DANGと」の後に「♪ 弾丸」という言葉があるので「ん?」と思ったのですが、ここは「だんがん」と読むのではなくて「たま」と歌ってる所がニクいですね。
8曲目「昔の彼に会うのなら」。
ややスカ気味というかレゲエ風というか。
これもさりげないAORダンス・ナンバーですね。
昔の彼に会うのなら、どうするのか。ヒロインの心の揺れと結論がいいですね。
9曲目「消息」。
荒井由実時代を感じさせるものもあるのですが、やはり当時よりもゴージャスなサウンドになった、それが松任谷時代です。
サビのメロディを引き立たせるチョッパー・ベースが印象的です。
10曲目「忘れないでね」。
これは不倫の歌なのか?
奥さんがいる人を好きになって、その彼の家にルルルと3回コールのいたずら電話をかけて、「それが私よ」と存在をアピールする、という、これまた怖い歌。
いや、そもそも不倫関係になってるのか?この主人公の片思いだけでやってるのだとしたら、完全な悪質ストーカーで、恐ろしい事この上ない。
と、歌詞はものすごく怖いのですが、メロディは極上。
「♪ ルルル ルルル」はキャッチーだし、「♪ I want you」は切なすぎて胸がキュッと来る。
怖い歌詞も、こんな切ない美メロを聴いてたら、なんだか許せてしまえそうになるから不思議です。それがユーミン・マジックか。
好きな曲BEST 3
第1位 「忘れないでね」
第2位 「ランチタイムが終わる頃」
第3位 「フォーカス」
そもそも「ようこそ輝く時間へ」が気に入って聴き始めたのに、それをさらに上回る曲にたくさん出会ってしまいました。
噂には聞いてたんですが、これは名盤ですよ。
曲調は、バラエティに富んでいるとは言えません。むしろ、どの曲もゆったりと踊れる曲が多く占められていて、統一感がある感じ。コンセプト・アルバムの類かな。
穏やかな空気の中には、巡り合えた幸せに浸る瞬間もあるのですが、うっかり見逃してしまいそうな嫉妬や怨念が渦巻いてたりもしていて、女性ならではのいろんなドラマが詰まっています。
じっくりと聴き入ってしまいますし、終わったらまたすぐに聴きたくなる。何度聴いても飽きそうにありません。
今まで聴いてきたユーミンのアルバムの中でもトップ・クラスの出来です。
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