[CAFÉ BLEU STYLE ARCHIVES] 2001年頃に書いた記事です
このあたりからサウンド作りに対する積極性・こだわりが大きく飛躍し、ロックが初めて芸術の域にまで達したと言われるアルバム。
そういった意味でも、トータルアルバムと呼んでも差し支えなく、この作品をベストとするファンも多い。
ジャケットからしてひとつの世界観を作り出している。
表情は『フォー・セール』の時と同じく疲れたものになっているが、前回は「本当に疲れていた」のに対し、今回は「わざと」そんな表情をしてるのではないかと思わせる。つまりはそれもひとつの演出、芸術。
左上のロゴも含めて、それがこの『ラバー・ソウル』の醸し出す空気なのである。
あえて表現するならば「ビヨーーン」。ジャケットを眺めていると、僕には「ビヨーーン」という音が聴こえてくるような気がするのである(笑)。
クールなイントロから、その名の通りの「ドライヴ感」がカッコいい「ドライヴ・マイ・カー」。
シタールの音が印象的な「ノルウェーの森」や、
重厚なギターの音が耳に残る「ユー・ウォント・シーミー」「嘘つき女」など、
やはり「音」の鳴り方、存在感、印象度が今までのアルバムと違う。
バラードは3曲。
しっとり美しい「イン・マイ・ライフ」。
いかにもポールらしいのが「ミッシェル」。
吸い込む音には背筋がゾクゾクとする「ガール」。
歌詞を読めばせつなくなってくる「ひとりぼっちのあいつ」や、
隠れた人気曲の「君はいずこへ」。
うーん、どの曲もはずせない。
そして、僕的なハイライトは前半が「愛のことば」。このハーモニー。ちょっとやそっとじゃできないぞ。ジョンの「♪ in the beginning...」のくだりがカッコいい。
そして後半のハイライトが「ウェイト」。もう言葉にならないくらいシビれまくり。歌い出しのジョンも、サビのポールも最高にクール。
ジョージの「恋をするなら」や、
あっさり軽く歌い流す「浮気娘」だって忘れちゃならない。
最初から最後まで貫かれる『ラバー・ソウル』な空気を体感せよ。
いくら好き嫌いはあるとは言っても、このアルバムがキライ、って言うビートルズ・ファンはおそらくいないだろうな、ってなすごい作品。
限りなく5ッ星に近い4ツ星。
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