松村雄策の音楽エッセイが大好きで。
近年出た文庫本の『ウィズ・ザ・ビートルズ』や『ビートルズは眠らない』をはじめとして、その著作のほとんどを買っているつもりだけれど、意外と、本として出ているものは少ないんだよね。
雑誌なんかで文章はよく見るし、人気のある評論家なのに。
松村さんが書いた文章をもっと読みたい。
とにかく、今は『rockin’ on』で連載している「レコード棚いっぱいの名盤から」を毎月楽しみにしていて、それらの連載をまとめて本にしてくれないかなあと、ずっと願っていたのだけれど。
その願いが叶って、連載をまとめた単行本が昨年11月に発売されると決定した矢先に、松村さんが脳梗塞で倒れてしまって、発売延期に。
幸い、病状の方は重いものではなく、リハビリは必要ながらも復帰をされて、連載も休む事なく続いていた。
ならば、単行本の方もすぐに出版されるだろうと思ったのだけれど、一旦は1月発売というニュースが出たものの、立ち消え。
11月に発売寸前まで行ってて、そこから新たに松村さんが原稿を書くわけでもないのに、何故そんなに時間がかかるのか。
そう思いながら、毎日の様に発売情報が出ないか、Amazonをチェックしていた。
そしたら、ようやく、4月半ばの発売が決定したという事で、3月にようやく予約が開始されたので、すぐに予約を入れた。
しかし、数日後、発売が5月に延期になったとのメールが届き、Amazonからは商品情報が消え、予約不可の状態となってしまった。
それから毎日心配でチェックしていたのだが、商品情報は現れないまま、5月になってしまった。
どうしてそんなに時間がかかってるのか。
11月に発売寸前までいってたのだから、本はほとんど完成してたんじゃないのか?
松村さんも回復してるんだから、何が理由でそこまで発売が延びているのか。
本当に発売されるのだろうか。
そんな状態のまま、そろそろ発売予定日だよなあ、という頃、Amazonからメールが届いた。
ああ、これはまた発売延期のお知らせか、もしくは発売未定となって、予約がキャンセルされるというお知らせなんだろうな、と覚悟した。
そしたら、それは「商品発送しました」メールだった。
あれれ?昨日まで商品情報も出てなかったのに?
慌ててチェックしてみると、どうやら発売日当日になってから、Amazonでは取り扱いを始めたようだ。
まあ、そんなこんながあって、ようやく単行本が手元に届いた。
発売決定のニュースを知ってから、半年以上待たされたので、感慨深い。
オビに【すべてはビートルズから始まった!僕が愛したロックの名盤たち】とあるように、2011年から始まった、毎月1枚ずつロックの名盤を採り上げている連載をまとめたもので、松村さんの今年の年齢に合わせたのであろう、計66枚のレコードが紹介されている、340ページ超の分厚い本だ。
松村さんの音楽エッセイは、単なる評論ではなくて、松村さんの体験や思い出が必ず書かれていて、そのアーティストやアルバムに対する思い入れや愛情がヒシヒシと伝わってくるのから好きだ。
他の評論家の文章とは一味違う。
どこがどう違うのかわからないのだが、毎回読むたびに、いいものを読んだな、という熱い思いが湧いてくるのだ。
とにかく、無事発売されて良かった。
すでに1度は読んだ事のある文章ばかりだとは思うけれど、あらためて、まとめて読めるのが嬉しい。
これからじっくり堪能したいと思う。
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