KARAの日本での3作目となる新作。
どうやら、K-POPブームは終わったらしい。昨年までの勢いはどこへやら、韓国とは竹島、慰安婦、大統領発言問題等も絡んで、日本側も韓国のものをプッシュする空気が消えてしまった。
日本でのプロモーション活動は制限されるようになって、シングルも大ヒットしたとは言えず、果たしてKARAはどうなってしまうのか、と心配してたら、実際、このアルバムの売り上げも初週7万枚。昨年の『スーパーガール』が初週27万枚だったのだから、やはり大暴落だ。コアなファンは買ったと思うが、ブームに乗って買ってたようなライト・ファンが一気に離れたと見える。新規のファンもほとんどいないのでは。
しかし、僕は、ブームだから聴いていたのではない。純粋にKARAが好きになったから聴いてきたのだ。だから、人気が下がろうがどうしようが、KARAのNEWアルバムが出るとなったら買うのだ。
1曲目はシングルにもなった「スピード アップ」。タイトルからすると、スピード感溢れるカッコいい曲を期待してしまうのだが、実際は、その名に反して、なんだかゆっくりな曲調でかったるい。悪い曲ではないんだけど、これは、タイトルと曲のギャップがありすぎるから、ガッカリさせられた。シングルにしては地味な感じがするのも否めない。
「ギミー ギミー」は、サビが物凄くキャッチーで、ノリのいい曲。この曲をシングルにした方が良かったのではないかという程の出来。
「オリオン」は磯貝サイモン作曲のバラードで、磯貝のバラードというと「今、贈りたい ありがとう」がファンの間では人気なんだけど、僕はあの曲好きではなくて。だからあまり期待してなかったんだけど、この曲はいい!優しさと切なさに溢れていて、何度も聴きたくなる。冬のチョコレートのCMあたりに合いそうだと思うのだがいかがか。
「Oops!」もいい感じ。ただ、Aメロあたりはいい感じなんだけど、サビがちょっと弱いかなあ。聴きすすむうちに印象が薄くなってしまう感じ。
それから、アルバム曲で良い出来だと思ったのが「イノセントガール」。この曲もノリがいいんだけど、キュートな感じもあって、印象に残る。
アルバム本編の最後が「ガールズ パワー」。これは「スピード アップ」との両A面という事でシングルになったのだけれど、シングルのプロモーションでTVで歌っていたのは「スピード アップ」ばかり。これは間違いだったと思う。KARAの可愛らしさを嫌味なく、ポップに仕上げた良作は「ガールズ パワー」の方だった。アルバム発売で今頃になってTVで歌うようになったが、ちょっと遅かった。2回目のサビ後の「♪楽しまなくっちゃyeah yeah~」の所が異常に好き。
それから、ボーナス・トラックとして、過去のシングルが5曲も入ってるのだが、これははっきり言っていらない。僕はリミックスとかニュー・ヴァージョンの類が嫌いで、それはオリジナルの出来を超えてるとは思えないからなのだが、今回の5曲もやはりそう。何度も聴きたいと思えない。蛇足だ。
何故、オリジナル・アルバムをベスト盤のようにしたがるのだろう。知ってる曲がいっぱい入ってる!と、新規のファンが買うと思っての事なのか。しかし、そんな事をしたのに、売り上げに繋がってない所も悲しい。
今回の初回盤DVDはイマイチ。
楽しみにしていたメイキングだけど、ただフォト・セッションの様子を延々流してるだけで、しかもBGMが流れているので、メンバーの「声」が全く聞けず。メンバーが日本語をしゃべってくれるのが嬉しいのに、それが全くなかったのは残念を通り越して怒りさえ。こんな映像ではKARAの魅力は伝わらない。
唯一良かったのは、過去のCMの映像を収録していた事か。ただ、いかんせんCM。あっという間に終わる。
全体を通してみると、アルバム曲は意外や意外、いい出来だと思う。前作『スーパーガール』よりもいいんじゃないか。ただ、やっぱりシングル曲が弱いので、華やかさに欠けるかな。ちょっと地味。まあ、飽きなく聴けるので、いい作品だとは思う。
今後の課題は、やっぱりシングルだ。印象的でポップでキャッチー、大ヒットするような曲を作れるかどうかに、KARAの命運がかかってる。売れなくなったら、日本での活動も衰退、最悪解散になってしまうからね。