BOOWYの名ライヴ盤『GIGS JUST A HERO TOUR 1986』に7曲を追加しての新装発売と聞いて、最初は迷った。7曲しか増えてないのかあ、スルーしようかなあと。だけど、その7曲の中に、BOOWYの楽曲で1番好きと言ってもいいくらいの「GIVE IT TO ME」が入ってたので、購入に踏み切った。
さほど期待してなかったんだけれど、聴いてみてビックリ。
結論から言うと。
これは、旧作とは全くの別モノである!
「IMAGE DOWN」で、氷室が「ライヴハウス武道館へようこそ!」と叫ぶ有名なセリフのお蔭で、旧作の収録曲はすべて武道館公演のものだと勘違いさせられていたのだけれど、実は、このツアーの各地の公演の音源をツギハギしたもので、さらにあとからシンセの音などを被せた編集版だったというのだ。
それに対し、この『NAKED』は、86年7月2日の武道館公演の4人の演奏のみを使用しているのだ。
という事は、旧作とはかなり違う事になるのではないか。同じ収録曲でも、違いがあるかもしれない。つまり、聴き所は追加された7曲だけではなく、19曲すべてなのではないかと。
しかも、Blu-spec CDとなって、音も良くなったというし、いったいどれくらい旧作と違うのだろうかと。僕のショボい耳でもわかるのかと。
初めの何曲かは、ハイハットの音がクリアかなあくらいにしか思わなかったのだが、旧作との違いがハッキリと誰にでもわかるのは、「BLUE VACATION」。氷室が歌詞に詰まり、さらに間違って歌うのだ(「カサノバ気取り」を連発するのが笑える)。これで、ああ、別モノなんだなという事がわかって感動する。一気にテンションが上がった。
「JUSTY」や「BABY ACTION」も、サビを客に歌わせてて、旧作との違いにハッとさせられる。
大好きな「GIVE IT TO ME」は、ライヴ・ヴァージョンはスタジオ・テイクとはアレンジが大きく異なり、しかも、ライヴごとにもアレンジがかなり違う曲なので、ここではどんな感じなのか楽しみだった。すると、大きく違うのは、Bメロの歌詞。氷室お得意のデタラメ英語が聴ける。布袋のソリッドなギターも相変わらずカッコいい。やっぱりこの曲は最高だ!
「LIKE A CHILD」は、今までに聴いてきたどのヴァージョンよりもビートが速くてスリリング。
「わがままジュリエット」も相変わらず名曲。後半、サビを歌う氷室のヴォーカルに、布袋のギター・ソロがインサートされる瞬間はいつもゾクゾクする。しかも、この曲のギター・ソロはライヴごとに違うから、聴いてて飽きない。
その他、「1994-LABEL OF COMPLEX-」「INSTANT LOVE」「TEENAGE EMOTION」「DANCING IN THE PLESURE LAND」などの追加曲組が良かった。
本作を買ってしまったら、旧作はいらなくなるのかなと思ってたけれど、とんでもない。もっと違いを見つけたくなって、旧作も聴きたくなった。
早速、聴き直してみると、いろんな曲でシンセやブラスの音が鳴ってる。今まで意識して聴いてなかったから、全然気づかなかったよ。全然違うじゃないか!
全19曲をCD収録時間ギリギリに詰め込んで79分57秒。
そのせいでMCがカットされているのは一部で不評だけど、中途半端に2枚組にして値段も高くなるくらいだったら、僕はこちらの方がいいと思った。
BOOWYのライヴも聴き飽きたかなと思ってたけれど、本作はまったく新しい息吹を感じられて、新鮮だ。買って良かった。