ジェフ・リンがプロデュースした、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズの『Into The Great Wide Open』が大好きで。ジョージ・ハリスンとトラヴェリング・ウィルベリーズでジェフのプロデュース作品に興味を持って、リリース直後に買い、超ハマッたのだった。
そのハートブレイカーズよりも以前に、トム・ペティのソロ名義での作品でもジェフがプロデュースしている作品がある事はすぐに知る事となるのだが、なんとなく手に入れる機会がないまま20年以上が経過してしまった。
そしたら先日、Amazonでの991円セールにて、このCDがリストアップされていて。
とうとう、このアルバムを手に入れる機会が訪れた!と。
でも、念のために試聴。
すると、うーん、『Into The Great Wide Open』程ではないような気がした。一聴して気に入るような曲はない...。これが今までこの作品を買わなかった理由なのか?
どうしようかと悩んだんだが、ずっと憧れ続けてきたジェフのプロデュース作品。この値段だし、やはり今買うべきでしょ、と決断。
89年リリースの1stソロ・アルバム。
1曲目「Free Fallin’」。
アコギの音もトムの歌声も優しく穏やかに始まるも、サビで熱唱。コーラスはウィルベリーズを思い出す。
2曲目「I Won’t Back Down」。
ジョージ・ハリスンも参加してるとかで、ウィルベリーズの「Handle With Care」を思い出す。幾分ダークな味わいがあるも、ポップでキャッチー。シングルになったのかな?
3曲目「Love Is A Long Road」。
イントロはザ・フーのあの曲みたい。非常に力強いサウンドに引き込まれる。
4曲目「A Face In The Crowd」。
ペシャッというドラムの音がいかにもジェフ・リン。アコギの雨が優しく降り注ぐ。時折聴こえるドブロ・ギターのフレーズも印象的。
5曲目「Runnin’ Down A Dream」。
軽快なロックンロール。サビで聴こえるアコギが非常にロック。ジェフはアコギを効果的に使うのが上手い。「♪フゥウー」というコーラスがさりげなくていい。終盤の長いギター・ソロが圧巻。
6曲目「Feel A Whole Lot Better」。
メロディ、サウンド、コーラスとも、ここでいきなりビートルズっぽくなる。これはジェフの趣味だなあと思ったら、この曲はカヴァー曲なんだって。しかもバーズらしい。原曲もこんなにビートルズっぽいのだろうか。この曲だけアルバムの中で浮いてる気がしなくもない。
7曲目「Yer So Bad」。
アコギの音が鈴の音のように聴こえる。メロディは泥臭くもあるのだけれど、軽快なサウンドがそれを感じさせない。
8曲目「Depending On You」。
軽快さと力強さが同居するというジェフ・マジック。
9曲目「The Apartment Song」。
オーソドックスなロックンロール・スタイル。平坦なメロディだけれども、トムが非常に上手く色を添えて歌っている。間奏のアコギとドラムの競演が素晴らしい。
10曲目「Alright For Now」。
アコギでの静かな弾き語り。サビが1回しかなく短い曲なのが残念。
11曲目「A Mind With A Heart Of Its Own」。
アコギのストロークでこれだけロックンロールを感じさせるのだから素晴らしい。コーラスもジェフならではの味。
12曲目「Zombie Zoo」。
ラストを飾るこの曲が一番重厚なサウンドになってるかな。投げやりっぽいトムの歌い方も楽しくてクセになる。
いやあ、ビックリした。想像してた以上に良かった。
軽快でご機嫌なポップ・ロック・アルバム。
さすがジェフ・リンだ!
たしかに、メロディ的には『Into The Great Wide Open』ほど突出して好きになるもの・一聴して気に入るものは少なかったんだけど、アルバム通して聴いてみると、これが非常に心地良い。僕の大好きなジェフ・リン・サウンドのオンパレード。
アコギを中心に組み立てながらもロックを感じさせる、ジェフお得意のパターンだ。
聴き続けているうちにメロディも耳に馴染んできた。文句なし。
トラヴェリング・ウィルベリーズの肌触りにとても似ていて、あれが好きな人はきっとこのアルバムも好きになるであろうサウンドだ。でもそりゃそうだよね、同時期の作品だもの。むしろウィルベリーズとの違いがある方が不思議というものだ。
なんでもっと早く聴かなかったんだろう。
非常に満足できたアルバム。
なんだかジェフの事ばっか褒めてるけど、もちろんトムのソングライティングやヴォーカルもお気に入りだよ。
↑ 「Runnin’ Down A Dream」。
軽快なロックンロール。サビで聴こえるアコギが非常にロック。ジェフはアコギを効果的に使うのが上手い。「♪フゥウー」というコーラスがさりげなくていい。終盤の長いギター・ソロが圧巻。