ストーンズの主要アルバムはほとんど手に入れ、あとは気になるのは3枚組のシングル・コレクションくらいかなあと思っていた。それをレンタルするかどうか判断するために、iTunes Storeで試聴してみた。
シングル・コレクションと言っても、気になるシングル曲はベスト盤などで既に持っている。初期のR&B、ブルース、カントリーのカヴァーには興味がない。シングルのB面などになったオリジナル曲で、気に入りそうなものはないかが焦点だった。
3枚組で曲数は多いんだけど、やはりと言うべきか...あまり僕好みの曲がない。やはりレンタルするのはやめようかな...と思っていたら、Disc3の最後の方に来て、おやっ?と思うものに出会った。
「Jiving Sister Fanny」。
これのギター・ソロのフレーズが恐ろしく素晴らしい。一聴して心惹かれた。こんな音色のギターを弾くのはもしかしてミック・テイラーかな??
ワクワクしながら調べてみると、やっぱりミック・テイラーだった!
この曲は是非とも手に入れたいなあ...でも、この1曲のために3枚組のCDをレンタルするべきか?と思いながら、さらに調べてみると、この曲は『Metamorphosis』というアルバムにも収録されている事がわかった。
75年にリリースされたこのアルバムは、64~70年までのデモや別テイクなどの未発表音源を集めた企画盤。
存在はなんとなく知ってたけど、詳しく調べないままなんとなくスルーしてた作品だ。
でも、「Jiving Sister Fanny」という素晴らしい曲が入っているという事で俄然興味が湧き、急いで試聴してみると、他にも僕の好みに合いそうな曲があったので、これはいいぞと。
シングル・コレクションのレンタルはやめて、このアルバムを購入する事にした。
Amazonでは、何故か輸入盤より国内盤の方が安かった。
1曲目「Out Of Time」。
ストリングスが効果的に使われ、甘いメロディは、これぞオールディーズ、スタンダードとも言える名曲だ。どうやら『Aftermath』のUK盤に入ってたらしく、僕が持っているのはUS盤だから知らなかった。こんないい曲がUS盤では外されてたとは。厳密に言うと、この『Metamorphosis』に収録されているのはデモ・テイクらしい。
2曲目「Don’t Lie To Me」。
シンプルなオールド・タイプのロックンロール。適度な重さとキレがあって好き。勢いも感じる。
3曲目「Somethings Just Stick In Your Mind」。
スライド・ギターっぽい音が印象的で...これはブライアンが活躍してそうな曲だ。
5曲目「Heart Of Stone」。
これはベスト盤にも入っている有名なシングル曲。これはその別テイクとの事だけど、まあ僕レベルでは、どこがどう違うのかよくわからない。
6曲目「I’d Much Rather Be With The Boys」。
これもフォーク・ロックの名曲と言う感じ。メロディも親しみやすい。
7曲目「Sleepy City」。
ベルのような音が印象的。
8曲目「We’re Wastin’ Time」。
メランコリックなスゥイングの曲。
9曲目「Try A Little Harder」。
好き嫌いは別にして、これは耳に残るメロディ。タイトルが歌詞になってるから特に憶えやすい。
10曲目「I Don’t Know Why」。
アナログではここからB面。ミック・テイラーが参加しての69年の録音で、A面の楽曲とは雰囲気がガラッと変わる。スティービー・ワンダーのカヴァーらしいけど、けだるい感じはストーンズの曲と言ってもいいくらいだし、なによりここでもミック・テイラーのギターがいい。
11曲目「If You Let Me」。
66年録音のこのフォーク・ロックはA面に入れるべきだったのでは?B面の中ではちょっと浮いている感じ。嫌いではないけど。
12曲目「Jiving Sister Fanny」。
なんと言っても一目惚れのこの曲。何度聴いても飽きない。ブギ調のリズムがクセになるし、間奏のミック・テイラーの艶のあるギター・ソロ。それがミックのシャウトと絡む。そしてその興奮のままラストまで続いていく。
13曲目「Downtown Suzie」。
スライド・ギターの印象的なカントリー調のブルースか...というおとなしめの前半から、一気に騒がしくなってリズム隊が加わるサビは圧巻。これがビル・ワイマンによる曲だというから驚き。
14曲目「Family」。
影のあるメロディとミックのヴォーカルが印象的。アコギが非常にロックしている。
15曲目「Memo From Turner」。
ミックのソロ・シングル曲のストーンズ・ヴァージョンとの事。重たい雰囲気はハード・ロックみたい。
16曲目「I’m Going Down」。
ハードなギターに勢いのあるビートが素晴らしすぎる。間奏のボビー・キーズのサックスとパーカッションにテンションが上がる。スティーブン・スティルスがギターで参加してるらしいけど、時期的に言ってもミック・テイラーもちゃんと参加してるよね?このアルバムの中では一番新しい70年録音の作品で、まさしく『Sticky Fingers』を聴いてる気分になる。もしかしたらこのアルバムの中で一番好きなのはこの曲かもしれない。素晴らしすぎる!
いやあ、あやうくこのアルバムをスルーするところだった。
オリジナル・アルバムではなく未発表音源集なので、僕のように見落としがちなんだけど、収録曲のほとんどはオリジナル曲だし、素晴らしい曲がゴロゴロしていた。何故これらの曲がボツだったんだ?と。
ポップなフォーク・ロックを主体にしたA面もいいんだけど、やはり僕が強烈に惹かれるのはB面。ミック・テイラーを迎えての『Let It Bleed』から『Sticky Fingers』の流れの中にある曲が多く含まれているからだ。
よくぞここまでの曲を発掘、発表できたものだ。良く出来ている。
ストーンズ・ファンならば、絶対聴いておくべきアルバムだと思う。
↑ 「I’m Going Down」。
ハードなギターに勢いのあるビートが素晴らしすぎる。間奏のボビー・キーズのサックスとパーカッションにテンションが上がる。スティーブン・スティルスがギターで参加してるらしいけど、時期的に言ってもミック・テイラーもちゃんと参加してるよね?このアルバムの中では一番新しい70年録音の作品で、まさしく『Sticky Fingers』を聴いてる気分になる。素晴らしすぎる!