70年リリースのライヴ盤。
69年のツアーの音源を収録。
ジャケットもイマイチだし、収録曲も特に好きな曲がなかったので、完全にスルーするつもりでいた。
だけど、ふと気付いた。これって、ミック・テイラー在籍時のライヴじゃないか、と。
今、ミック・テイラーのギター・プレイにハマッている僕は、俄然このアルバムが聴きたくなって、慌ててレンタルしてきた。
何故今までスルーしてたのだろう。ミック・テイラーの存在に気付いてなかったのが自分でも不思議。
もともとは全10曲収録だったけど、09年にデラックス・エディションが出て、未発表の5曲が追加され、この時のライヴのセットリストが完全に聴ける事となった。
僕がレンタルしてきたのは通常盤だったけど、当然デラックス・エディションの5曲も気になるわけで。
そこで、苦手なブルース曲はスルーするとして(笑)、試聴していい感じに思えた「Under My Thumb」と「Satisfaction」をiTunes Storeでダウンロード。全12曲としてこのアルバムを聴いた。
1曲目「Jumpin’ Jack Flash」。
イントロのミックの「ワン・ツー!」とチャーリーのドラムのリズムが思いっきりズレててズッコケる(笑)。でも、その後の演奏は非常にタイト。
2曲目「Carol」。
8曲目「Little Queenie」。
チャック・ベリーのオールド・ロックンロールのカヴァーが2曲も。カヴァー曲が嫌いな僕は心惹かれない。他に演奏してほしい、素晴らしいオリジナル曲がたくさんあるのに、どうしてカヴァー曲なんか演るんだろう、と疑問に思っちゃう。
3曲目「Stray Cat Blues」。
タイトルはブルースと付いてるけれど、これは僕にはブルースには聴こえなくて好き。ミック・テイラーのギター・ソロには痺れる。まだミック・テイラーはストーンズに加わって間もない時期なのに、既に才能をいかんなく発揮しているね。
4曲目「Love In Vain」。
ブルース。しかもカヴァー曲。という事で僕にとっては我慢の時間。まあ、この曲はオリジナル・アルバムでも取り上げてるので、ストーンズの曲と言ってもいいくらいだけど。
5曲目「Midnight Rambler」。
やはり前半のハイライトはコレか。ブギ→テンポアップ→ブレイク→ブギという曲構成。先日の東京ドームでは、最初のテンポアップの時にすぐミック・テイラーのギター・ソロがあったけど、この時のライヴでは無いね。ギター・ソロは終盤まで待たねばならない。ブレイクの時に日本人が「カッチョイイ!」と叫んでるらしいとの噂だったけど、よくわからない。これかな?と思う声はあるけど、あまり「カッチョイイ!」とは聴こえない。外国人の声なんじゃないか?やはりこれは空耳的な伝説なんじゃないだろうか。それにしてもこの曲、『Let It Bleed』収録テイクではミック・テイラーは参加してないのに、今年の東京ドームを含めた今回のツアーで、どうしてミック・テイラーをフィーチャーするのがこの曲なんだろうとずっと疑問に思ってたのだが、このライヴ盤の名演の影響があるのかね、と思った。
6曲目「Sympathy For The Devil」。
「♪フッフー!」という印象的なコーラスも無くて、原曲にあったような悪魔的な怪しい感じはあまりしない、シンプルなロックンロールになっている。キース→ミック・テイラーの順番で弾かれるギター・ソロが聴き所。
7曲目「Live With Me」。
ズンズンと響くリズムに静かに興奮する。キースとミック・テイラーのギターの絡みが非常に上手くいってるのがこの曲ではないかと。
10曲目「Street Fighting Man」。
バチッと決まったイントロじゃなくて、なんとなく始まったキースのコード・ストロークにチャーリーのドラムが加わっていって曲が始まるという、ルーズな演奏の魅力がある。アコギ主体の原曲よりも、エレキで攻めるこのライヴ・ヴァージョンの方が好き。オリジナルではこの曲でアルバムは幕を閉じる。
11曲目「Under My Thumb」。
ここからアンコール的にダウンロード音源。CDからリッピングした音より、ダウンロードした音の方が良いな。各楽器の音がはっきり分離して際立ってるし、特にベースが目立って聴こえる。原曲ではブライアン・ジョーンズの弾いてたマリンバが印象的だけど、ライヴでは聴こえないので、代わりにベースの音が重要になる。
12曲目「Satisfaction」。
この曲、ストーンズの代表曲である事はもちろん認めるんだけど、僕ははっきり言ってあまり好きではない曲。だけど、この曲をダウンロードせずにいられなかったのは、ミック・テイラーのギター・ソロのせい。とにかく素晴らしいプレイだし、この曲で僕がこんなに興奮させられるとは思わなかった。どうしてこの曲がオリジナルではカットされてしまったかがわからない。カヴァー曲なんていらないから、この曲を入れれば良かったのに。
それにしても、と思い出したのは先日の東京ドーム。一番最後に演奏されたこの曲でもミック・テイラーは参加してたけど、弾いてたのはアコギ。この69年のライヴでは素晴らしいエレキ・ギターを弾いてたというのに、今ではアコギとは...ミック・テイラーの飼い殺しを感じた。やっぱりミック・テイラーは現メンバーじゃなくて元メンバー、今は単なるゲストなんだな、と。ロニー・ウッドのメンツもあるし、必要以上にミック・テイラーを目立たせる事はしないんだなと思った。
最初は全然注目してなくて、スルーしてたライヴ盤だったけど、僕にとってはやっぱりミック・テイラー参加、という事に尽きる。
ミック・テイラーの奏でるギター・フレーズが聴きたくて、このアルバムのPLAYボタンを押してしまう、という感じ。今ではお気に入りのライヴ・アルバムだ。
ミック・テイラーはストーンズ参加直後という事で、控えめなのかと思ってたら、予想以上に弾きまくっていて、僕的には満足。
この後、どんどんストーンズに馴染んでいったミック・テイラーは、ライヴでどんなプレイをしてたのかすごく興味がある。
ミック・テイラー在籍時代のライヴ音源をもっともっと聴きたいなあと思わずにはいられなくなった。