[CAFÉ BLEU STYLE ARCHIVES] 2001年頃に書いた記事です
ヨーコと別居、酒に溺れながらの日々を過ごしている時に録音されたとあって、このアルバムに表れているのはジョンの「弱さ」。
メロウでファンキー、一番好きなアルバムだ。
もちろん、ジョンは意識して弱さを出そうとしてるわけじゃない。むしろ、そんな弱さを悟られないように強がってみせてるようでもある。ホーン・セクションやストリングスを多用して派手なサウンドに仕立てているのが「強がり」に思えるんだよね。でも、いつものように(?)ポロッと正直な胸の内を出している部分があって、結局はそんなジョンの寂しさ・辛さがアルバム全体を覆ってしまっているのだ。
それが一番表れていると思えるのが「愛を生き抜こう」だと思うのだが、どうだろう。
パッと聴くと、力強いリズム、「♪ going down on love~」での力の入れ方。でも、どこかパンチ力不足という感じで、ホントは弱ってます、みたいな(笑)。
「♪ somebody please~」の所とか、大好きなんだよね。
なんかもう、1曲目からメロメロじゃん(笑)。
で、エルトン・ジョンが一緒に騒いでくれる「真夜中を突っ走れ」では、束の間のカラ元気(笑)。
ノリが良くていいよ。
で、「枯れた道」はメロウで素晴らしい曲。
ピアノの音も美しい。道は枯れてても感じるこのしっとり加減はジョンの涙か。
アルバム中、唯一、素直にカッコいいと言えるのが「ホワット・ユー・ガット」。
印象的なリフ、ブラス・セクションと共にジョンの力強いシャウト(ここではホントに力強い)がこだまする。すごいカッコいい。
「果てしなき愛」はせつない。
「Bless you」って言ってるのにせつない。イントロが聴こえただけでせつない。やっぱり愛する人が側にいないからだな。
「Bless you」と言っても、その声は届かないのをわかってて言ってる「Bless you」だから、せつなく響くんだな、きっと。
そして、狼の遠吠えが聴こえてくる「心のしとねは何処」では、我慢できなくなってついに泣き出す。「怖い」って(笑)。
この曲も大好きなんだよなあ。
このアルバムは全曲好きなんだけど、一番を選べと言われたらこれかなあ。
怖いよって言いながら、力強いサウンドにしてるでしょ?後半ではシャウトしてるし。弱い気持ちを力強いサウンドで誤魔化す。こういうところが好きなんだよね...。
怖い夜をなんとかやり過ごし、B面は「夢の夢」でスタート。
ホントに夢のような、気持ちよい曲。ファルセットで歌うサビは最高でしょ。
「予期せぬ驚き」は、ファンキーで明るい曲なのかと思ったら、途中でメロウなメロディが入る。
ヴォーカルも、いい意味でヘロヘロ。
「鋼のように、ガラスの如く」は、ボブ・ディランのようなマイナー・コードの曲。
途中からはファンキーになってきて、「♪ New York ta~~~~~~lk」と永遠に続くかのような伸びが気持ちいい。ここでもブラスが大活躍。
「ビーフ・ジャーキー」もカッコいいインストゥルメンタル。
ちょっとウイングスっぽいかも?
「愛の不毛」もまた、メロウな流れに力強いシャウトが入るという、このアルバムのお得意(?)パターン。
孤独を感じる曲。
ジョンが「俺ってしょうがねえ奴だなあ...」と半ば自分に呆れながら歌っているように思える。
ラストの「ヤ・ヤ」は、少年ジュリアンがドラムを叩いていて微笑ましい。
ジョン、最後は息子に助けられちゃったよ(笑)。
こういう弱気なジョンが嫌いで、当然このアルバムも嫌い、という人もたくさんいるが、僕はここで見れるジョンが一番好き。
弱音を吐いて、強がり言って...全曲好きだね、このアルバムは。
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