[CAFÉ BLEU STYLE ARCHIVES] 2003年に書いた記事です
エルヴィス・コステロの最新リマスター・プロジェクト。
オリジナル・アルバムをDisc 1に、Disc 2は未発表デモ&ライヴを加えたボーナス・トラック集にして2枚組豪華版でのリイシュー。
先月末に『ゲット・ハッピー』『トラスト』『パンチ・ザ・クロック』が発売になって。
コステロのアルバムは、とりあえず一通り持ってるのだけど、「大好きなアルバムに注目ボーナス・トラックが追加されてたら買おう」と思っていたら、今回は『パンチ・ザ・クロック』が条件に当てはまったので、購入。
リマスターされた音はどうなっているか。
パッと聴いてみて、特にレベルが大きくなったとか、はっきりといい音になった印象はなかった。
しかし、聴き比べてみると、やはり微妙にだが違う。
高音が僅かにクリアになり、音の抜けが良い。
「シップビルディング」は、トランペット・ソロの部分にあった僅かなノイズ(3分24秒あたり)がうまく処理(完全に消えてはいないが目立たない)されている。
全体的にはマイルドになった感じ。
「TKO」あたりを聴いてると、やっぱり音のバランスが良くなったなあ、と。
ただ、ベースやバス・ドラのアタックが弱まった印象で、迫力、という点においては旧盤の方が良かったかも。そこがちょっと残念。
ボーナス・トラックがなかなか良かった!ぞ。
旧盤は7曲だったボーナス・トラック、そのうちライヴ音源2曲が削除されてしまったのだが、
新盤には大幅に未発表トラックが追加され、計26曲。デモありライヴありカヴァーあり。
14~21曲目に、このアルバム収録曲のデモがあるんだけど、なんと言ってもカッコいいのが「レット・ゼム・オール・トーク」のデモ。
このアルバムのオープニングを飾る曲の、ギター2本のみのラフなデモ・トラックなんだけど、イントロのホーン・セクションのフレーズをコステロがヴォーカルで表現(1回目が♪ トゥールトゥ、2回目は♪ パーラパ)しているのがしびれる。
突然の終わりには背筋ゾクゾク。この1曲だけでも買った甲斐あり。
削除されてしまったライヴ音源には、オリジナルとは随分印象の違うマージービート風「エヴリデイ・アイ・ライト・ザ・ブック」があったんだけど(ライヴではこのアレンジの方が定番??)、新盤では、ライヴ音源ではなくちゃんとスタジオ録音版が収録されている(コステロ曰く、ショボい音のライヴ・テイクの代わりに入れた)ので、このヴァージョンが好きな人も安心。
まあ、僕はオリジナル・ヴァージョンの方が何倍も好きなんだけど。
他には、『トラスト』収録曲の「ビック・シスターズ・クロース」から「スタンド・ダウン・マーガレット」へつながるBBCセッション、ライヴ音源の「裏切り者のテーマ~キング・ホース」等が印象的。
しかし、こんなに未発表トラックばかりだと、未発表集のオマケにオリジナル・アルバムが付いてる、って感じだなあ。
ま、旧盤持ってる人も安心して買い直せる、って事で。
で、このコステロのアルバム。
こうやって少しずつリマスター盤が出ているのに、今月末には『マイ・エイム・イズ・トゥルー』~『ブラッド・アンド・チョコレート』の紙ジャケ盤が出るという。
豪華2枚組の国内盤はいつも通りMSIから出ているのだけど、ボーナス・トラック一切なし、オリジナル忠実再現の紙ジャケ・シリーズの方はビクターから。
ほぼ同時に2社からリリースされるっては珍しい。
でも、紙ジャケの方の音はどうなってるんだろう。どのリマスター音源が使われるんだろ。
僕は「紙ジャケ」というものに特別な思い入れはなく、むしろ普通のプラ・ケースの方が好きなので、まったく買う気はないんだけど、紙ジャケ愛好家や、リマスターが気になるファンはすべて買ってしまうんだろうなあ。
大変な出費だ。
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