[CAFÉ BLEU STYLE ARCHIVES] 2003年に書いた記事です
ビートルズ『レット・イット・ビー・ネイキッド』のジャケ、あちこちで不評ですねえ。
...でも、僕はキライではないんだけどなあ。
情報通り、US盤が非CCCDなら、そちらを買うつもり。
以前は、完全国内盤派だった僕だけど、段々と輸入盤に抵抗がなくなってきている。
だって安いんだもの。
だってちゃんとした「CD」なんだもの。
【日本のファンの熱い願いに応えて、『レット・イット・ビー・ネイキッド』11月14日緊急日本先行発売】だって。
バカじゃないの?僕らの願いはそんなんじゃないって。
ビートルズものは、全世界同時発売、がアップルの規約であったはずなのに、それを破ってまで、前倒し発売する、って、
これは明らかに、国内盤のCCCDを買わせよう、って魂胆見え見えじゃん。
少しでも早く売る事によって、少しでもUS盤に流れるのを防ぐ、少しでもCCCDの売上げを伸ばそうとしてる。
レコード会社も必死なのはわかるけど、それはファンを舐めてるよ。
早く出せば喜ぶだろう、って?逆効果だよ。CCCDをなんとかしてほしいファンは余計に腹立つよ。
まあ、3日くらい早く出されたって屁でもないけどさ。
というか、よく考えてみたら。
もともとの発売日は11月17日(月)。
CDショップに並ぶのは、たいてい発売日前日の午後なんだけど、前日が土日の場合は、金曜日にはショップに並んでしまうのが通例。
なんだ、初めっから14日発売じゃん(笑)。
この出荷システムを利用して、14日発売とアナウンスしてるのか、それとも、正式な発売日を14日とした事で、13日に店頭に並んでしまうのかはわからない。
おそらく、その辺の絡みがあるから、「全世界同時」の規約もうまくかわせたんじゃないかなあ。
でもさ、結局のところ、ほとんど発売日は変わってないも一緒なんだよ。
(AmazonやHMVのサイトでは、11月11日発売となってる。いったいホントの発売日はどれなんだよ、って気もするけど)
でも、「1日でも早く聴ける!」と大喜びしてるファンもいるんだろうなあ。
ビートルズ・ファンってコレクター多いから、国内盤はもちろん、UK盤、US盤、EU盤、アナログ...みんな買っちゃう人もいるみたいだし。
中には、CCCDの問題わかってるのに、「将来CCCDが廃止されたら価値が出るかもしれないから買う」なんて言ってる人もいるみたいだし。
まあ、そういう人は「音楽ファン」っていうより、モノを集めるのが趣味の「コレクター」って事で別枠。
とにかく、レコード会社は、ファンの願いがなんなのか、まったくわかろうとしてないんだな、って事が改めてわかった。
そんな小手先の作戦に惑わされず、US盤を買いましょう、って話だね。
リリース後、ショップには、ビートルズ『レット・イット・ビー...ネイキッド』のコーナーも、もちろん設けられてたので、ウロウロと他のCDをチェックしつつも、ネイキッド・コーナーにも気を配ってたんだが。
30分ほどの間に、コーナーに立ち寄ったのは僅かに一人。
試聴ブースでは40~50代のおっさんがしばらく試聴してた。でも、他には誰も寄って来て手にとって見るような人はいなかったなあ。
丁度よく、輸入盤も入荷してあったので、手にとって見る。でも、防犯シール等のせいで、見えない部分があり、どこの盤かわからない。「EU」の文字が見えたので、もしかしてコピーコントロールされたEU盤?なんて思い、店員に訊いてみた。
「これはCCCDですか?」と訊ねると、すぐにはわからなかった様で、誰かに確認しに行った店員。
戻ってくると、「輸入盤は普通のCDです」との事だった。
それだけでは不安だったので、どこの盤かを訊ねると、再び確認に走る店員。
結局それはUK盤との答えだった。
価格は1790円。
特に安いってわけでもないし、Amazonで注文した分がそろそろ届くだろうから、買う気はなかったんだけどね。走らせてごめんよ店員さん。
『ニュースステーション』で、ビートルズ「ドント・レット・ミー・ダウン」を観た。
ルーフトップの映像という事で、ほとんど期待してなかったんだけど、
「こんなにカッコ良かったっけ!?」と、えらく感動してしまった。
映画とは別編集との事だったけど、どの程度違うのか、映画を2~3度しか観てない僕にはわからないんだけど、ジョンをはじめ、全員カッコ良かった。マジで。ビデオに録れば良かったと後悔したほど。
普通のテレビのスピーカーからだというのに、音も、すごく良く聴こえた。ジョン、ポール、ジョージのヴォーカルがはっきり聴き分けられた。ビックリ。
もしかして、この音が『ネイキッド』盤の音なの??
だとしたら、すごい楽しみなんだけど。『ネイキッド』。
実は「買わなくてもいいかも」くらいに思ってたほど、まるで期待してなかった『ネイキッド』が待ち遠しくなってきた。
そしてやっとこ、ビートルズ『レット・イット・ビー・・・ネイキッド』を聴いた。
まあ、結論から言うと、期待外れだったね。
というか、もともと期待はしてなかったんだった。
でも、なまじっか『Nステ』で「ドント・レット・ミー・ダウン」のPV観ちゃったもんだから、急に楽しみになって。
だから、まあ、「やっぱこんなもんだったか」と。
まず、期待してたほど音が良くなかった。レベル(音量)小さくてガッカリ。
うちのコンポでは、普段より3~4ヴォリューム上げないと、しっかり聴こえない。
ガツーンと来る音圧を期待してたんだけどな。
これじゃあなんだか今までのビートルズのCDとあんまり変わらないかも。
『紙ジャケ探検隊』の聴き比べレポートでは、やはり各国盤に音の違いがあって、どうやらいちばんいい音なのはUK盤(UK向けEU盤)らしいから、僕のUS盤がイマイチなだけなのかもしれないけどさ。
たしかに、ひとつひとつの音がクリアになったから、それぞれのヴォーカルや楽器の音が分離されて、よくわかるようになったけどね。
ヴォーカル...というかコーラスにおいては、ジョージの声がはっきり聴こえるようになった。これはいいんだか悪いんだかだなあ。
今までのように、「わからない程度に、でも実は入ってた」ジョージのコーラスだったからこそ、ビートルズのハーモニーが心地良かったような気がする。あんまりクッキリ聴こえすぎちゃうのもどうかなあ、と、特に「ドント・レット・ミー・ダウン」なんかを聴いてると感じちゃう。
楽器面では、なんといっても目立つようになったのはアコギだよね。これだけシャラシャラ聴こえると、このアルバムって、実はアコースティック・アルバムだったんだなあ、なんて印象が。
ただやっぱり、それぞれの曲を聴いてみて、「これは前よりいい!」っていうのがないんだよね。
「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」なんて、僕にしてみたらひどい出来。
出だしからメロディ違うし、歌詞も違うし。
僕はマニアじゃないので、使われたのが第何テイクだとかわからないんだけど、ポールのヴォーカルには力が入ってないのよ。もしかしたら、まだ完成途上の状態のヴォーカル・テイク?なんだかポール自身探りながら歌ってる感じだし、どう聴いても心はこもってない。なんでこんなの使ったんだろ。
オリジナルでは、ラスト間際にさりげなく入る「♪ don't keep me waiting」がポールならでは、で大好きなのに、入ってないし、ラストの「♪ yea,yea,yea,yea~」もカット。美味しいところを抜かれてる。
良かったのは間奏のビリー・プレストンのエレピ・ソロだけ。ガッカリ。
そう思って、『アンソロジー』ヴァージョンを聴いてみたら、こっちの方が何倍もいい。美味しいところは抜かれてないし、エンディングで僅かに聴こえるピアノの高音でのフレーズがせつない事せつない事。ここだけでも何回もリピートしたくなっちゃう。
この曲に限らず、『ネイキッド』の方は「違和感」ばかりが目立っちゃって。
『イエロー・サブマリン・ソングトラック』の時は、「おお!実はこんな音が!新しい発見!!」なんて興奮しながら聴いたものだったけど、『ネイキッド』は、なんだか不安を抱えたまま聴いてた。
聴き終わって、どうにもスッキリしなかったので、試しに『アンソロジー』に収められてた曲を、『ネイキッド』の曲順でMD編集してみたら、ずっとこっちの方がいいでやんの(2曲足りなかったけど)。
『ネイキッド』という名前的にもこちらの方が合ってるような気がするし。
結局、今回の『ネイキッド』、あちこちのサイトで言われてるように、全然「裸」ではないし、「生まれ変わった」というのもあてはまらない気がする。
まったく別の音源ならば、「別ヴァージョン」として楽しめるんだろうけど、変にオリジナルに忠実な部分もあるから、なんだかもどかしい。
結局、リマスターでもリミックスでもない、どこをとっても中途半端なものになってるのではないかと。
たしかに、これはこれで新しい発見をもたらしてくれた部分はあるけれど、上記したように、美味しいところを抜き取られ、いじくられた作品、て感じだね。
『イエロー・サブマリン・ソングトラック』はすごく好きだったんだけど、これは好きになれないなあ、きっと。
迷ってる人は、買わなくてもいいと思うよ。
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