[CAFÉ BLEU STYLE ARCHIVES] 2003年頃に書いた記事です
この曲で椎名林檎にハマッたという人は、おそらく僕だけではないだろうけど。
それまで椎名林檎という新人がいる、っていうのは知っていたけど、前作「ここでキスして。」が、あんまり僕の好みではなかったので、ふ~ん、なんでそんなに注目されてんの?ってな程度だった。
が、有線で聴こえてきた「本能」には一発でやられた。
ぐいぐい迫ってくる強烈な感覚。くるくる巻き舌の後に来る爆発(叫び)。
なんなんだ?これは...と、戸惑いながらも同時に感じる気持ち良さ。
有線なので、当然初めは誰の曲かはわからなかったのだが、調べてみれば、これが椎名林檎だという...。
それで、有線の音をMDに録音して何度も楽しんだのだが、やはりCDが欲しくなり、買いに行った先で観た、看護婦ジャケット。それで、直感的に思ったね。「あ、この娘は面白いぞ」と...。
ドロドロとした「本能」から一転して、「あおぞら」は、タイトル通り穏やかなボサノヴァ。ネオアコと言ってもいいか。
「輪廻ハイライト」にいたってはジャズ。
歌詞は英語?と思いきや、歌詞カードを見ると、日本語になっている。
でも、意味がありそでなさそうな...と思ってよく聴くと、実はやっぱり英語なのだね。こういう遊びも憎い所。これまた名曲。
とにかく「本能」!!という感じでこのシングルを手にするとは思うが、このタイプの違う3曲で、林檎嬢の音楽性の幅の広さを存分に感じる事もできる。アルバムしか持ってない人、このマキシは必聴ですぞ。
僕は初めてこのジャケットで林檎嬢を目にしたのだが、その時に思ったのは、「意外と綺麗なんだな」という事。曲のイメージから、もっと違う方向性(笑)をイメージしてたんだよね。あ、でも中ジャケットには一枚だけ「おばちゃん?」って感じのものも(笑)。今はもちろん、「すげー綺麗」って思ってるよ(笑)。
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[CAFÉ BLEU STYLE ARCHIVES] 2003年頃に書いた記事です
なんだろう、これを初めて聴いた時に思ったのは、「なんでこんなすごいものがある事にすぐ気付かなかったんだろう」って事だったな。
...とは言っても、リリースされてからまだ1年たってなかったんだけど、それでもなんだか、遅れをとったな、みたいな(笑)。そういう意味でのショックを受けたのをよく憶えてる。
「正しい街」の、うるさいリズムとギターと叫びが、明るいメロディを奏でていた冒頭は、あまり好みの曲じゃないかな?と思ったんだけど、「♪ 不愉快な...」というAメロでギュッとマイナーになった瞬間、ああ、やっぱり信じてて良かった、と(笑)。
そして聴き所は「♪ 何て大それた事を...」というフレーズ。ここのギターとヴォーカルの絡みにはしびれますねえ。
そして続いて聴こえてきたのが「歌舞伎町の女王」でしょ。もうこの時点でやられちゃってましたよ、僕ぁ(笑)。
なんて淫靡な唄なんだ、と。久々にこんな、怪しい唄を聴いた、と。
で、怪しいんだけど、なんだか華やかでもあるでしょう?のぞいちゃいけないものをのぞいてるような、ついつい惹かれてしまう魔力を感じるというか。
で、次の「丸の内サディスティック」も大好きだなあ。
これも「歌舞伎町~」的な匂いがする曲なんだけど。「歌舞伎町~」が歌謡曲的なら、こちらはもっとロック寄りで。
「♪ 報酬は入社後」とか「♪ 東京は愛せど」なんてとこのフレーズは、ものすごくカッコいい。歌詞は変なんだけどさ。面白い。こういう詞をカッコよく歌っちゃうんだから、すごい姉ちゃんだよ、ホント。
「幸福論」は、<悦楽編>として、シングルとは別ヴァージョン。
よりパンキッシュに仕上がっている。僕はこちらの方が好きだな。
で、お次も名曲、「茜さす 帰路照らされど・・・」。
タイトルだけで好きになっちゃったんだけど(笑)、これはバラード...と言ってもいいのかなあ?
とにかく感動的な曲でねえ。初めて聴いた時はビックリしたんだけどね。椎名林檎って、こういう曲も書けるのか!と。もう、とにかく感動するとしか言えないや(笑)。
「シドと白昼夢」は、楽しい曲、かな。
初めはほんわかと夢見てるイメージ、サビは飛び跳ねてイッちゃってるイメージ(笑)。
「積木遊び」もヘヴィなサウンドなんだけど、ベースが「タックスマン」風だったり、ミドルで琴が飛び出すアレンジが面白いね。
「ここでキスして。」は、おそらく椎名林檎の曲の中で初めて耳にした曲。
有線放送でやたらとかかってたから、ヒットしてんのか~、って。ま、そん時はその程度だったんだよね。特に大きなインパクトはなかった。なんとなく、女の子受けする曲なのかなあ?ってくらいで。
バイオリンの響きが印象的な「同じ夜」。
張り裂けそうな思いを押し殺してるのか、ぶちまけてるのか、どっちともとれそうな(笑)弾き語り風。
そして再びカッコいいのが「警告」。
ライヴでもものすごく盛り上がりそうだ。
この曲に限った事ではないけれど、こういうロック・ナンバーにおけるドスの利かせ方は最高!
でもって、ドロドロとした女の感情をフルスロットルで吐き出して、ギリギリのところでコントロールしているかのような歌のうまさ。すごいよね。
僕的には「警告」がラストナンバーでも良かったと思ったんだけど、もう一曲、アンコールという事で(笑)「モルヒネ」。
「♪ 家にはひとりで帰ります」だなんて、歌詞だけを見るとなんだかほのぼのしちゃったりもするんだけど(笑)。
実際、口笛なんかも入って、若干ほのぼのはするかな。若干、ね(笑)。
僕は「本能」を聴いて、急いでこのアルバムに手を出したわけだけど、そこには、僕が期待してた通りの林檎があったから嬉しかったな。
「本能」を聴いた時に感じた、「椎名林檎って、こういう面白さがあるんじゃないかな...」っていう勝手な想像が、的外れじゃなく、ちゃんと期待してたような形であったから見事にハマれた。
林檎嬢自身が、「椎名林檎」というキャラクターで最大限に遊んで、楽しんでるって感じ。言葉選びなんかもいいしね。
一枚目からこのクオリティ。文句なく、傑作。
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[CAFÉ BLEU STYLE ARCHIVES] 2003年頃に書いた記事です
僕が初めて買ったスパイダースのCDとして、想い出に残るもの。
当時はオリジナル・アルバムのCDは発売されてなく、こういうベストもの数枚(しかもどれもほとんど選曲は同じ)しかなかった。
しかしそれでも、スパイダースはただものじゃないぞ、他のGSとは何かが違う、と感じさせるものが確かに伝わってきた。
「他の作品も是非聴いてみたい...」僕がそう思ってからようやくオリジナル・アルバムがCD化されるまで、5年の歳月を要した。もっとも、他にはもっと長い間待っていたファンの人も多かっただろうけどね。
カフェブリュ選曲
『スパイダース・ベスト』
フリ・フリ‘66/ ノー・ノー・ボーイ/ ビター・フォー・マイ・テイスト/ ヘイ・ボーイ/ サマー・ガール/ なればいい/ 夕陽が泣いている/ 太陽の翼/ 夢のDC8/ 夢をいだいて/ 風が泣いている/ あの虹をつかもう/ 恋のドクター/ バン・バン・バン/ メラ・メラ/ あの時君は若かった/ もう一度もう一度/ いつまでもどこまでも/ ミスター・タックス/ 赤いドレスの女の子/ エンド・オブ・ラブ/ 真珠の涙/ ロックンロール・ボーイ/ 涙の日曜日/ ソー・ロング・サチオ/ コケコッコー/ エレクトリックおばあちゃん
僕がスパイダース入門者用にCDを作るとしたら、こんな感じかな。今、そういうベスト盤って出てないから。
それらしいのは『コンプリート・シングルス』なんだけど、2枚組で入門者にはちょっと敷居が高い。
アルバムのみの曲は入ってないし、ソロ曲も混じってるからね。
『スパイダース・ヒストリー』は初期のものしか入ってないし。
GSだから、バッタもんのCDとかあるんだろうけど、公式にはないからね。だから、1枚ものでシングル・アルバムの佳曲が手軽に聴けるベスト盤があればなあ、と。
自分が選曲者だとしたらこんな風になりました。74分CD-R、MDにちゃんと収まります。
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[CAFÉ BLEU STYLE ARCHIVES] 2003年頃に書いた記事です
スパイダースの全シングルに加え、グループ活動時のメンバーのソロ・シングルもA・B面収録した、文字通り完璧なシングル・コレクション。
シングル曲という事で、代表曲が網羅されており、ベスト盤的な味わいもある。
各曲については、アルバム評で上記したので、ここでは、このCDならではのポイントを。
まずは記念すべきデビュー作「フリ・フリ」。
こちらは、後に1stに収録されるものと違い、日本語ヴァージョン。
また、初期の作品では、ベンチャーズ・ブームの中、彼等が一時期エレキ・インスト・グループだった事もわかる(「越天楽ゴーゴー」等)。
「青春ア・ゴー・ゴー」はいかにも当時の熱血青春ソングといった感じだが、彼らなりのグルーヴ感もあり、個人的には好きな作品。
「ガラスの聖女」は、シングル・ヴァージョンとして初CD化。
ソロ・シングルでは、ムッシュの代表曲でもある「どうにかなるさ」や、
田辺さんの妙に悲しくなる「俺もお前も人間だもの」「わかっているさ」もあるが、
マチャアキの「悪魔のようなおまえ」「月曜日はからっぽ」が、シリアスなマチャアキの魅力を押し出した佳曲で聴き所。まあ、もうこのあたりはすっかり【歌謡曲】となっているけどね。
また、当時のシングル・ジャケットが全て掲載されているのが嬉しい。
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[CAFÉ BLEU STYLE ARCHIVES] 2003年頃に書いた記事です
前作発表後、マチャアキ、順、ムッシュのソロ作発表が相次ぎ、1年たってようやくスパイダースとしてのアルバム(本作)が発表されるが、それと同時に、ドラマーでリーダーの田辺が事務所社長業専念のため、脱退を発表。その後、新ドラマー・前田富雄を迎えて「とりあえず」活動を続けるが、シングル1枚を発表するのみで、約半年で結局解散に至る。
そんな訳で、もうほぼ終わっていたとも言える状態で出されたラスト・アルバムは、海外での「ロックン・ロール・リバイバル」の動きに呼応するかのようにして作られた、全曲カヴァー作品。
メンバーのモチベーションの低さを反映するような内容になっており、ファンからの評価も低いものとなっている。
カヴァーものにあまり興味を持てない僕も当然、ほとんど聴く気がしないアルバム(笑)。
しかし、当時のニュー・ロック、アート・ロック、ブルース・ロックの流れを取り入れて料理されており、初期のカヴァーものに比べたら、サウンド的には僕好みかな。
現在CDでは、マチャアキ、順のソロと、スパイダースとしてのラスト・シングルA・B面計6曲がボーナス・トラックとして追加されているので、少しは価値は上がっている(笑)。
そのスパイダースの「エレクトリックおばあちゃん」は、最後に輝いた光。
ラスト・アルバムはグズグズでも、ラスト・シングルはオリジナルで、スパイダースらしくカッコを付けた。
タイトルからもわかる通り、ジャン&ディーンの「パサディナのおばあちゃん」のパロディ。
「いつわりの恋」は、「エレクトリック」のB面。
コミカルで楽しいA面とはうって変わって、こちらは、暗く重厚な作品。
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